事例紹介

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~中小製造業の固定概念を覆すユニークな取組~

~中小製造業の固定概念を覆すユニークな取組~

アルミ、銅合金のカルモ鋳工株式会社

会社情報

カルモ鋳工株式会社
〒651-2271 神戸市西区高塚台3-1-45
創立年:1944年
業種:製造業(非鉄金属製造業)
従業員数:男性58名/女性12名(2020年3月現在)
事業内容:アルミ、銅合金の各種鋳造品製造

~中小製造業の固定概念を覆すユニークな取組~

 

■「次世代型を含む鉄道車両や航空機関連部品を中心に、オンリーワンのモノづくり」

 カルモ鋳工(株)は神戸市長田の苅藻にて創業し、1980年に現在の西神工場へ移ることとなりました。2006年より現在の2代目社長として髙橋直哉氏が就任し、ものづくり現場における女性(文系)の活躍推進に本格的に取組んでいます。主要製品は次世代型を含む鉄道車両や航空機関連、自動車や電機関連の部品などがあり、兵庫の個性派企業に選出されるなどオンリーワンのものづくりを進めています。現在は先端技術導入による一貫生産体制の確立を目指しています。

 

■「インターンシップとは異なる、採用におけるユニークな取組み」

 同社のユニークな取組のひとつに大学生を対象とした鍋インターンというものがあります。一般的な自社のPRを行うようなインターンシップとは全く異なり、学生が鍋を一からすべて準備することから始まり、鍋の準備が整ってから座談会がスタートするという内容です。座談会ではあらかじめ参加学生によるグループワークで「社会人になってから何を学びたいのか」「働きたい会社とはどのような会社か」を議論し、作成したフレームワークを発表するというもので、社長や社員とともにディスカッションをおこない、助言を受けることもできます。
 実際に社員についてはインターンシップでレクチャーしている通り、文系・理系、性別、未経験を問わない「性格採用」を心掛けており、文系出身者の割合が高くなっています。若い女性社員も増えており、鋳造、仕上げ、加工、総務、営業と幅広く文系出身の女性社員が活躍している状況です。
 また、社員旅行・忘年会・毎月のグループ懇親会など、社内イベントを多く設けており、オープンであたたかな組織風土が形成されています。これは「社員同士の仲が良くないと良い商品は作れない」という髙橋社長のこだわりによるもので、髙橋社長自ら率先して社員とのコミュニケーションを図り、社員との距離を近づけられるよう、社内に社長室はありません。

 

■「良い製品」を生み、発信していくために

 日本経済を取巻く環境は厳しさを増すとともに、企業は良いものをつくるだけでは競争に勝ち残ることのできない時代に突入しています。製造業が良いものをつくることは当たり前のことであり、「世の中に求められる製造業」となるためには「コミュニケーション」を強化する必要があります。コミュニケーションは情報を発信し、正確に価値を伝えるうえで不可欠なものであり、ヒトとヒトが心を通わせあうことのできるツールです。コミュニケーションは文系出身者や女性が得意とされることが多く、同社の文系出身者及び女性の活躍の場を広げる取組は、製造業において「良い製品」を生み出すことのできる組織文化の形成とともに「良い製品」を発信していくこと、さらには中小製造業の固定概念を覆すユニークな事例といえます。

 

■「業務仕分け」による女性就業促進の取組

 非製造業の男女比率が概ね同数であるのに対し、製造業は男性7:女性3、製造業における最重要課題である人手不足解消、ダイバーシティ経営による競争力強化に向けて、女性の力は最大の潜在力です。
 その潜在力を最大限に活かすため、製造業の一連の業務において、女性(文系)人材でも担当可能な業務を切り出し、人材活用の促進を目指すことを目的として、兵庫県では「ものづくり分野における女性就業促進事業」を実施しています。本事業では、女性(文系)人材に対するものづくり分野への研修の実施などにより、製造業の分野におけるさらなる女性就業の促進を図り、モデルケースを創っていきます。

 

■「ワークショップ形式※」による業務仕分けの手法

 「ものづくり分野における女性就業促進事業」において、企業内の女性(文系)社員を中心に自分たちで意見を出し合うワークショップ形式による業務仕分けを実施しました。
※ワークショップとは・・・講師の話を参加者が一方的に聞くのではなく、参加者が意見交換の場に積極的に参加し、グループワークなどの過程を通じて様々な気づきや発見をする参加体験型のワーク手法です。

その結果、一定の力仕事等、法令により女性労働が規制されるものを除き、業務全体において高い割合で、女性(文系)社員に対して、ものづくり現場を経験する機会を積極的に設けることで「誰にでもできる仕事」という気づきを促すとともに、女性の視点やコミュニケーションを生かした会社全体の活性化を求めていきます。

ワークショップ参加者へのインタビュー

■小松さん「新鮮で、楽しい経験に。」

 ワークショップを行うことは初めての経験で、業務をともにする仕事仲間と違う形で協議を行うことは、新鮮で楽しかったです。
 知った顔ばかりでワークショップを行い、安心して進めることができました。ワークショップの時間がもう少し余裕がほしかったです。特に「業務仕分け実施」については、じっくり時間をかけてやりたいと思いました。

■杉山さん「女性にも「工場勤務」を身近に。」

 女性で工場勤務と言うと、事務作業をしているのかなというイメージが多く、実際に現場で作業していると想像する方は少ないと思います。しかし、最近では少しずつですが、工場で女性が働く姿も増えてきました。それに当たって、今回のワークショップでは、女性が働きやすくなるよう意見を出し合い、みんなでまとめた意見を直接社長にお伝えすることができ、すごくいい機会でした。このワークショップを機に、弊社だけでなく、ものづくり現場で働く女性にとって、より働きやすい環境が増え、そして、これから社会人になるより多くの方の就職先の候補に工場という選択肢が増えると嬉しいです。

■瀬山さん「今後、入社してくる方も働きやすく。」

 ワークショップに参加して、自分自身の働き方を考え直す充実した時間になりました。これから入社してくる方、特に女性の方が働きやすいと感じてもらえるように、些細なことから改善や工夫をしていきたいと思いました。
 これからも、より良いものづくりができるように頑張っていきたいと思います。

■野口さん「改めて、働き方を考えるきっかけに。」

 今回のワークショップにおいて働き方を考えるきっかけになり、とてもいい経験になりました。
 女性ならではの回答もあり、将来、女性が働きやすい環境になれるよう会社においても発信できればなと思いました。