インタビュー紹介

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久保田 愛さん

久保田 愛さん

株式会社ティエラコム GE事業本部副本部長
「やりたいことを、主体的に選択して生きていく」

会社情報

株式会社ティエラコム
【所在地】兵庫県神戸市中央区東川崎町1-3-3神戸ハーバーランドセンタービル19F
【事業内容】受験学習指導、合宿教育・語学教育・研修企画、塾経営支援システム提供
【社員数】正社員281名(男性227名:81% 女性54名:19%)パートナースタッフ(アルバイト・非正規社員)1,437名(男性694名:48% 女性743名:52%)(令和3年5月時点)

「やりたいことを、主体的に選択して生きていく」

 株式会社ティエラコムは「困難にたじろがない ひとりで勉強できる子に」を教育理念に、1976年の創業から46年にわたり教育の可能性を追求しています。現在は能力開発センター・山本塾・東進衛星予備校のブランドで展開する小中高生対象の塾運営にAIによる次世代型学習をプラスして自立教育を実践する「教育事業」、宿泊研修・語学留学により、多角的な学びの体験を提供する「GE事業」、独自の教育メソッドやノウハウを顧客に最適化し提供する「ASP事業」の3事業を展開しています。
 入社時より「GE(グローバルエデュテイメント)事業」に携わり、現在はGE事業本部の副本部長として活躍されている久保田さんにお話を伺いました。

「あらゆる世代」に「あらゆる学び」を

Q.これまでの経歴を教えてください。     

 私が入社したのは2000年です。合宿教育事業部に配属になり、その頃から国内・海外での合宿の引率や広報活動などに携わってきました。入社3年目には夫の転勤に伴い、モロッコで1年間在宅勤務をした経験もあります。当時はまだ整備されていなかったWEBの作成等を担当することを申し出、この会社で仕事を続けたいとお願いして許可を頂きました。二度の育産休を経て今の副本部長職に就いたのは2014年です。本部長から直接打診を受けた際は、素直に喜ぶことができました。管理職というのは、昇進するまでは誰しもが未経験です。そんな未経験の自分よりも、今管理職に就いている方の判断の方が信用できると思ったからです。
 GE事業本部では留学事業、合宿教育事業、研修宿泊施設事業、旅行事業の4部門にまたがり運営しています。Global EducationにEntertainmentを合わせた造語で、グローバルエデュテイメントと呼び、「世界を舞台にした体験による学び」として、海外留学や国内での英語学習キャンプ、合宿教育事業などを子どもたちに提供しています。今は副本部長として、合宿における危機管理とWeb広報を主に担当しています。夏合宿では5000名近い参加者が海外を始め日本の全国各地を移動するため、特に夏の合宿期間は気が抜けません。2020、21年とコロナ禍のため、海外留学や合宿事業は安全面を考えて中止せざるを得なかったのですが、牛窓の自社研修施設“カリヨンハウス”では日帰りの利用者などを受け入れています。海外留学をオンラインで行うなど、コロナ禍でも、体験による学びを試行錯誤しながら、その場所でないと学べないことを体験させるということにずっと関わっています。

Q.一番力を入れられている業務や今後の展望について、お聞かせください。

    今は当部門における人材育成や研修に一番時間を使っています。様々な情報を多角的にキャッチしながら仕事の幅を増やしていってほしいとの思いで新たな研修を企画するなどしています。
 2019年にワークライフバランスについて全社研修を行ってから、社として働き方改革にも取り組んでいます。当部門でも、テレワークでも働ける仕組みづくりに取り組んできました。今の若いスタッフ達が、出産等のライフイベントがあっても職場復帰しやすい会社にしたいと考えています。
 そのほか、個人的な活動になりますが、若いお母さんの相談を受けるボランティア活動を長く続けています。コロナ禍の中で、特に小さい子を育てている女性は孤独を感じている方が多くいらっしゃいます。地域の中で繋がりをもてる場を提供できるよう、子育て支援をしている団体を巻き込み、地域ぐるみで密接に関わっていけたらと思っています。

テーマは「自立」と「強み」

Q.モチベーション維持の秘訣を教えてください。

 働くことを辞めたいと思ったことはありません。私の中で、経済的に自立しているというのは大きなテーマで、夫に何かあっても子ども二人を育てていける、自立している状態であるということをとても大事にしています。自身の母からも「自分がやりたいことを主体的に選択して生きていくためには、経済的自立が大前提」だと教わってきました。母親の影響って大きいですよね。自分も子どもへの発言には気を付けています。
 モチベーションを維持する秘訣は、私の場合はしっかりと自分の強みを持つこと、それを伸ばすことではないかと思っています。私の強みの一つとして、文章を書く力があります。子どものころから日記をつける習慣があり、文章を書くことに抵抗がなかったため、合宿のパンフレットの巻頭メッセージの執筆なども任されました。「この文章はあなたにしか書けない。単なる学習塾の担当者としてではない、あなた自身の文章」と上司に褒められ、それから毎年任されています。
 また、2007年頃から十数年間、毎日子育てブログを書いていました。子どもの様子を遠方の親に知らせるツールとして、ブログを使っていましたが、公開する前に読み返すために文章を推敲するので、作文のトレーニングになりました。そのおかげで、文章を書く仕事でもストレスなくこなせているので、自身の生産性を高めるため、自分を客観視するためにも役に立ったと思います。たまに読み返すことで、自分の成長を確認し、励みにもしています。過去を見返し客観的な指標を得るツールとして日記やブログがあると思っています。

「自分の責任からは決して逃げない」

Q.上司同僚から認められる働き方や子育てと家庭の両立で工夫したことなどを教えてください。

 長女を出産したときは、産後3ヶ月で職場復帰しました。復帰当初は時短勤務で16時半には退社するようにしていましたが、受け持つ仕事量は変わりませんでした。自分も仕事量は変えたくないという矜持がありましたので、そこから業務の前倒しを自らに課し、時間との勝負の毎日が始まりました。マニュアルやeラーニングでできるプログラムを作り、退社後に自分宛の問い合わせがなるべく来ないよう工夫しました。周囲の協力があってこその時短勤務ですが、私が不在でも業務ができる仕組みを作ったのが、認められるポイントでもあったのかな、と思います。
 育児に手がかかった頃でも、合宿事業部の繁忙期である夏の1か月ほどの期間だけは、夫や義母に協力を得ながら、様々なトラブルに対応してきました。おかげで「自分の担当責任から逃げない、一番大事な時には何とかできる人」という評価をもらえたのかなと思います。
 「子育てしているから優遇されている」と見られたくないというのもありました。自分なりに生産性を高める工夫を実践することで理解してもらえたと思います。今は、子育て中のスタッフへの声のかけ方を工夫するようにしています。

Q.これから女性リーダーになる方にメッセージをお願いします!

 自分の進むべき道が見えなくなってしまったときは、他人との比較ではなく、過去の自分と比較してみてください。キラキラ輝いて見える人たちと比較すると、自分の未熟さを感じ、落ち込んでしまうかもしれません。しかし過去の自分との比較は大いにして良いと思います。どんな人でも成長しているところはあって、未来のこうなりたい自分は、自分の価値観で決められます。どんな生き方をしたいのかを考えて、自分らしいリーダー像を思い浮かべてみましょう。
 今は既存のものだけが正解ではない時代です。みんなが自分の理想のリーダー像を目指していくことで、仲間もたくさん増えて活気づいていく。女性の活躍ってそういうことだと思います。