インタビュー紹介

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前田 祐美さん

前田 祐美さん

株式会社但馬銀行
個人営業部 営業サポート課長

会社情報

株式会社但馬銀行
【所 在 地】豊岡市千代田区1番5号
【事業内容】金融業
【従業員数】739人(女性327人、男性412人)<平成29年10月31日現在>

結婚退職から復職し、子育てと両立して管理職に

 但馬銀行は、明治30年創業、県内外に69店舗を有する但馬地域のメインバンクといえる存在。「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」に加入し、女性行員が結婚や配偶者の転勤などで転居する際に、転居先の地銀への採用を促す「地銀人材バンク」の運用に参加しています。

 女性支店長代理も増加しており、現在の女性管理職比率は15%です。

 同行を結婚退職して十数年を経て復職し、ご自身の強みを活かして、しなやかにキャリアアップし続ける前田さん。再就職を目指す女性の心構えや金融機関における管理職としての取り組みについてお伺いしました。

寿退社から専業主婦、パートからの再スタートで正社員に

Q これまでの経歴を教えてください。

 但馬銀行に入行後、丸4年で結婚退職しました。当時は結婚すると退職するのが当たり前の時代で、共働きの義父母と同居して家事全般を担いました。2人の子どもを出産して家庭を大切に思う一方で、社会から遠のいていく自分にあせりも感じていました。そこで長女の小学校入学時に、午前中のみの医療事務のパート勤務を始めました。子どもが高校生になり長く働きたいと思っていた時、医療事務のフルタイムの誘いと但馬銀行の元上司からパートタイマーで働かないかとお誘いを受けました。人と接する医療事務の仕事にもやりがいを感じていましたが、将来性を考慮して、あえて十数年のブランクのある銀行業務を選びました。

 パートタイマーの窓口担当として復職すると、入行当時とは制度や環境も変化して、女性が働き続けられる職場になっていることに驚きました。この新しい環境のもとで、パートタイマーから契約職員、正職員へキャリアップし、本年4月に管理職に抜擢されました。

Q 現在の業務と今後の展望を教えてください。

 顧客に金融商品などの提案と情報提供を行う営業店の職員に対して、サポートを行う業務を担当しています。業務内容は金融商品の知識や顧客対応を向上するための職員研修の企画・実施、支店を巡回しての個別アドバイス、顧客へのアドバイザー養成を目的とした長期連続講座の実施など多岐にわたります。

 銀行窓口の提案営業やマネーアドバイザーとしての経験が役立つ業務ですが、管理職として全体を目配りするなど初めてのことも多く、課長職拝命から8か月経ち、ようやく今後の展望を考えられるようになってきました。スマホ世代の若手職員へのコミュニケーション力向上や、子育てに奮闘する職員に対する研修やサポートを実施していこうと考えています。

さまざまなことにチャレンジして視野を広げる

Q 働き方の転機になったエピソードを教えてください。

 正職員登用の1年後に、新規プロジェクトの立ち上げにあたり上司から担当の指名を受けました。初めての本部勤務、しかも営業店への支援業務ということで不安もありましたが、女性目線での企画ができるのではないかと考えるようになり、同僚とともに進めることができました。

 また、銀行から通信講座の受講料の補助があるため、自分が受けたい講座に積極的に取り組みました。仕事の合間を縫いコツコツ学び続けた結果、ファイナンシャルプランナーや窓口サービス技能士の資格を取得し、自信をもってお客様に対応できるようになりました。さらに、全国の銀行職員を対象に実施される研修では、男女の別なく交流の場が設けられ、業務の進め方や仕事の問題点についてディスカッションしたことで仕事の幅と人脈が広がりました。このような体験から、仕事を自分一人で抱えずに、わからないことや不安なことは上司や同僚、部下に相談や意見を求めるようになりました。

女性目線で変革を。想いは必ず伝わる

Q 女性であることで苦労した点があれば教えてください。

 再就職は本当に苦労しました。職を変えること、パートタイマーから契約職員・正職員になることにはパワーを要しますし、特に家庭と仕事を両立させながら正職員で働くことは大変でした。しかし、それ以上にやりがいを感じました。現在は、産休や育休、短時間勤務の制度も整ってきており、ライフプランに合わせて仕事を続けることができ、女性にとってはありがたい環境が整っています。

 本行は地方銀行の中では大所帯でない分、一人ひとりを尊重する風土がありますが、時には「パートタイマーのままでいい、キャリアアップは意味がない、女性は活躍できない」というこころの声を耳にします。もし、キャリアアップを望むのならば、自らが積極的に思いを声に出して発信しないと周りの環境は変わりません。これからの銀行は、女性目線で変革していくことが必要だと思っています。職場へ恩返しをしたい思いも込めて、私の経験を後進に伝えていきたいと思います。

落ち込んだ時こそ、次はどうすればよいのか考える

Q 頭の切り替えやストレス発散方法を教えてください。

 仕事で落ち込むことや、くじけそうなことはもちろんあります。ただ嘆くのではなく「次に同じ状況になった時はどうするか」と頭の中を整理します。そのような時は考え方が一辺倒になっている可能性がありますので、違う分野で働く夫や娘など第三者の意見を聞くようにします。また、図書館で調べ物をして解決策を探すなど、視野を広げるように心がけています。

 現在は同居する義母が家事の手助けをしてくれたりと、家族が大変協力的で仕事に専念できる環境です。子どもも成長して良き相談相手になりました。家族との時間と仕事の時間、オンとオフを切り替えて気分転換しています。

Q これから管理職や女性リーダーを目指す女性へのエール、アドバイスをお願いします。

 今の職場は女性にとって働きやすい職場であるか考えてみてください。もしそうでなければ、提案し意見を唱えることで制度や周りの意識も変わってくると思います。

 日本全体の労働人口が減少していく中で、女性の活躍が欠かせない時代がやってきました。政府が掲げる働き方改革、ワークライフバランスの推進、女性の活躍推進、時間外労働の削減等、働く環境が目まぐるしく変わってきています。本行においても定時以降はパソコンを一斉にシャットダウンするなど、残業削減に取り組んでいます。

 みなさんも、ぜひ、ご自身のライフプランに合った柔軟な働き方を工夫・実践し、収入の安定性も保ちながら、仕事のやりがいを見つけてください。