インタビュー紹介

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池上 有紀さん

池上 有紀さん

株式会社デンソーテン
人事総務部人事室労政課長
「周りと連携しながら、よりよい仕事を」

会社情報

株式会社デンソーテン
【所在地】兵庫県神戸市兵庫区御所通1丁目2番28号
【事業内容】コネクティッド事業、CI事業、AE事業
【社員数】正社員4,073名(男性3,276名:80.4%、女性797名:19.6%)(令和4年9月時点)

「周りと連携しながら、よりよい仕事を」

 株式会社デンソーテンは、1920年に創立した川西機械製作所を源流に、神戸工業(株)・富士通(株)・富士通テン(株)を経て、2017年に現在の社名となりました。カーエレクトロニクスメーカーとして、カーナビゲーションやドライブレコーダー、ハイブリッドシステムの電子制御装置など、クルマの価値を高める製品を数多く手掛けています。
 「誠」を企業経営の基本理念とし、製品の提供を通じて人と車のより良い関係づくりに貢献、国際社会・地域社会から信頼される企業をめざし、日々社会課題に取り組んでいます。
 今回は、人事総務部人事室労政課長として社内の働き方改革や職場環境改善の先頭に立ち、活躍する池上さんにお話を伺いました。

お互いに助けあうことで、仕事は成りたっている

Q.これまでの経歴を教えてください。    

 新卒で入社した会社は、全く別の業界でした。小さな会社だったため色々な経験は積めましたが、長いキャリアを考えたとき専門的なスキルを身につけたいと思い今の会社に転職しました。入社後は人事を中心に、人材開発、人員計画管理、各種制度企画、ダイバーシティ推進といった業務を担ってきました。
 一昨年に課長に昇進、今の担当業務である労政の仕事を任されました。労働組合との交渉や従業員の処遇や業務に関する制度企画を担当する部門です。新型コロナウイルスの感染拡大により、従業員の安全確保と事業継続の両面で早急に働き方を変えることが求められていた時でした。弊社では以前からテレワーク制度はあったものの出社が前提でテレワークはたまに使うという程度、社員が出社しない状態を想定して作った制度ではありませんでした。ただ、テレワークの利用拡大に向け育児・介護や出張前後に限定していた利用を、テレワークに適した利用であれば誰でも使えるように制度変更の計画を練っていた時でした。ですから、コロナを機に計画を前倒しすると共に利用制限の回数を無くすなどその他の制度も合わせて場所・時間にとらわれない柔軟な勤務ができるようにしました。急な対応だったため、PCや通信環境の整備、オンライン中心のコミュニケーションなど多くの課題がありましたが、関係部署が一丸となって解決に取り組み、現在の神戸本社の出社率は平均4割程度となっています。

Q.気持ちよく仕事をするために心がけていることはありますか。

 私自身は二度の産休・育休を経て働き続けており、今でも子育てとの両立で時間的な制約があります。また労政の担当は3年目になりますが、私より部下の方が詳しい業務もたくさんあります。メンバーそれぞれに得意なところがあるので、私自身も助けてもらいつつ、逆に自分が助けられるところは積極的に手伝うようにしています。自分一人ではできることに限りがあるからこそ、チームみんなで仕事が上手く回っていくような働き方を心がけています。課長の立場となってからは、今まで以上に他の部署とコンタクトを取ったり、自身の上司の手を借りたりすることで下の方たちの仕事がやりやすくなるサポートができたらいいなと思っています。

職位があがることに不安をもたなくていい

Q.社内での産休・育休制度などについての浸透度の変化を感じることはありますか。

 私が入社した頃にはすでに産休・育休を取得しやすい雰囲気でしたし、今では制度利用は当たり前になっていると感じます。ダイバーシティ推進の業務を担当していた時は、両立に関する制度の利用促進はもちろん、復職面談や交流会、研修などを通じて育休を取得した社員がスムーズに復帰し、キャリア形成できるような支援を行っていました。男性社員の育休取得や短時間勤務も、最近では珍しくありません。
 また、管理職になる女性も増えてきました。自動車業界は全般的に女性が少なく、弊社も特に開発設計の部署を中心に男性の多い会社です。しかし採用場面で弊社に興味を持ってもらえるよう女子学生向けのセミナーを行うなど、入社する女性を増やす取組みと、ライフイベントを迎えた女性が働き続けることができるよう両立支援の取組みを20年近く続けており、様々な職場で責任ある立場で活躍する女性は確実に増えてきています。

Q.課長に昇進されたとき、ご自身の中で戸惑いなどはありましたか。

 ずっと人事の仕事をしていたので、大きな戸惑いはありませんでした。担当業務によっては専門性を突き詰めたいと昇進をネガティブに捉えるケースもあるようですが、人事は他部署の人と関係しながら制度を作ったり、企画をしたりすることが多いため、職位があがることでむしろ仕事で実現できる範囲が増えていく、とポジティブに考えています。

Q.自信をもてたきっかけなどはありますか。

 人事は経営層や上位職の方と関わることが多い仕事です。まだ役職に就く前に経営層の方に担当する業務に関する説明に伺った際、丁寧に耳を傾け、真剣に向き合っていただいたことが強い印象として残っています。きちんと準備し説明をすれば、しっかり耳を傾けてもらえるとわかったとき、自分の仕事に自信を持てるようになりました。今振り返って思うと、自信に繋がるような場所に上司が良いタイミングで連れて行ってくれたことが重要だったと思います。

オンオフの切り分けはしっかりと

Q.ストレス解消法などはありますか。

 オンオフの切り分けを意識しています。テレワークは良さもある反面、仕事と生活の境界があいまいになりストレスを抱えることも。私はダラダラと仕事をし続けることがないように、基本は仕事を終えたら、それ以降はPCは見ないようにしています。テレワークではサボるよりも働きすぎる懸念の方が大きいと実感しており、部下に対しても、業務時間との切り分けを自分でしっかりコントロールするよう指導しています。そうすることで、テレワークならではの高い集中力を維持し生産性を高めることができると思います。
 他には旅行がすごく好きなので、次はどこに行こうか、と考えたりすることを楽しみとしています。

Q.今後のご自身としての展望や、会社・部署としての展望はありますか。

 人の役に立っている、組織の中で貢献できている、という実感が私にとってはやりがいになります。ですので、今後はその範囲を拡げていけたらいいなと思っています。これまで、勉強会や交流会などの場を通じ他社と多くのつながりを持つことができました。今年は兵庫県下で働く女性の集まりであるVAL21でも代表を務めています。必然的に自社のことを説明する機会も増え、自社の取組についても勉強するようになり、それが自分の自信に繋がっています。
 デンソーテンでは、従業員一人ひとりの働きがいを大切にし、女性活躍やダイバーシティの促進を全社で進めています。人事として取り組むべき課題も多くありますが、従来の価値観に縛られることなく時代の変化にスピーディーに対応し、社外との交流で得た知識や経験を社内の取組みに還元していけたらと考えています。

Q.これから、管理職を目指す女性、働く女性に向けてメッセージ

 しっかり自分がやるべきことをやる、責任を持って求められている役割を果たす、大事にすべきところは大事にする、そういった当たり前のことを続けていれば、成果は自ずとついてきます。不安に思うことがあれば、どんどん周りに聞きましょう。
 昇進が決まると誰しも最初は不安です。ですが、環境が変われば考え方は変わります。あなたが選ばれたのは、信用できると思われたからです。あまり難しく考えずにプラスのこととして捉え、これまで培ってきたことをそのまま続けていきましょう。自信は後から必ずついてきます。