インタビュー紹介

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田代 彩子さん

田代 彩子さん

株式会社ヒメプラ
取締役 管理本部・不動産事業部 本部長
「敬意を持って人と接する」、「立場が人を育ててくれる」

会社情報

株式会社ヒメプラ
【所在地】兵庫県姫路市北条448番地の8
【事業内容】家庭日用品、インテリア用品、産業資材などの卸商社
【社員数】正社員104名(男性74名:71% 女性30名:29%)パートナー92名(男性19名:21% 女性73名:79%)(令和4年3月時点)

「敬意を持って人と接する」、「立場が人を育ててくれる」

 株式会社ヒメプラは、新素材として注目を集め始めたばかりのプラスチック製品の卸売業として1955年に創業し、「家庭用品事業」「産業資材事業」という2つの主力事業で、多様なニーズに合わせた幅広い商品を提案しています。
 1995年には自社ブランドMISM(ミズム)を立ち上げ、独自性や付加価値にこだわった商品を国内外で開発しています。以降、2008年には「NET販売事業」、2020年には「海外営業部の新設」など、日々新たなことにチャレンジしています。
 今回は、取締役 管理本部・不動産事業部本部長として働き方改革や職場環境改善の先頭に立ち、活躍する田代さんにお話を伺いました。

どんなピンチも怖くない

Q.これまでの経歴を教えてください。     

 私は1993年に大学新卒で入社し、人事部に配属。結婚後に営業所に異動になり、営業を補助する仕事に就いていました。その頃は、「女性=アシスタント」という固定観念が社内で根付いていて、定型的な事務仕事しか与えられなかったように思います。初めはそれが当たり前のように思っていましたが、男性同期が昇進していくのを見ているうちに、私も頑張らなければと思うようになりました。そんな頃、当時の社長で現会長から「本社に戻り、活躍する女性のパイオニアにならないか」と声を掛けられたことをきっかけに、意識や自覚が芽生え、本社勤務の総合職に願い出、総務人事課に配属されました。社としても2008年ごろから女性の総合職を積極採用するようになり、少しずつ変わってきました。今では男性女性は関係なく仕事を任せられますし、女性社員は結婚や出産後も継続して勤務する方がほとんどです。
 2012年に、女性初の管理職として総務人事課長に就任後、2016年に財務・総務部長、2017年に執行役員に就任し、2019年から今の役職に就いています。さすがに過大評価じゃないかと思ったこともありましたが、プライベートで日々励んでいた、赤穂ウルトラマラソン100kmで優勝し、「ここで負けなかったならどんなピンチも怖いものはない」と前向きに捉えられるようになりました。財務経験のない中ですが、優秀な部下に助けられながら、「パイオニア」の実践と思い、後輩社員のため頑張っています。

Q.社内での女性活躍等の取組についてお聞かせください。

    女性管理職はまだ私一人だけですが、管理職候補となる女性係長も増えてきています。女性社員が出産育児後も働きやすくするために、短時間勤務の期間を子どもが小学校入学までに拡大しています。また、コロナ禍以前より在宅勤務制度を導入し、育児や介護、病気で出社できない方に利用いただいてきました。
 また、働き方改革プロジェクトをたちあげ、業務を適正化し役割分担をはっきりさせ、早出や遅出のシフトを設け、弾力的な働き方のしくみに改善することで、特に物流業務などで大きな成果を出すことができました。コース別人事制度や雇用制度も繰り返し見直すなど、役立つことは何でも取り入れるようにしています。在宅勤務規定の整備やESGの環境配慮の取組、産業医面談などの健康経営認定などにもチャレンジしています。
 取組のために、自分で社員の声を吸い上げる役割を担おうと考え、年に1回全社員を対象に面談を実施し、働きやすい職場づくりのため、「駐輪場に屋根が欲しい」「喫煙所を設置して欲しい」「倉庫のエアコンを修理して欲しい」などの要望を少しずつ反映してきました。

とにかく相手の話を良く聴き、否定しない

Q.ご苦労されたことや、そのとき踏ん張ったエピソードなど、お聞かせください。

 ちょうど1年前にがんが見つかり、手術・入院することになりました。やっぱりがんということだけで、精神的に参ってしまいました。でも、会長や社長、他の役員の方々、管理本部のメンバーのサポートがあったこと、病気療養中でも会社と繋がっていられたことが精神的な支えになりました。また、在宅勤務のシステムが大きな力を発揮しました。パソコンとポケットWi-Fiを病室に持ち込み、グループウェア上で社内の情報に遅れることなくついていくことができましたし、退院後も自宅からWebで関係部署との打ち合わせや役員会に出席しました。少し無理をしていたかもしれないですが、治療だけに専念していたら、職場復帰は難しかったのではないかと思います。

Q.上司・同僚から認められる働き方や人間関係で気を付けていることなどを教えてください。

 若い頃はよく自己啓発に積極的に取り組んだと思います。就業前に資格取得のための勉強や、英語の勉強もしていました。会社の周年行事でマカオへの社員旅行の企画運営をした際に英語力が役立ちました。朝活は頭がすっきりしているので、効果的だったと思います。そういった自己啓発に関してはよく上司から褒められました。
 人間関係では、お互い敬意をもって接することが重要だと思います。それぞれの部署の管理者の方を信頼しきっていますので、安心して業務を任せています。また若い方にもどんどん難易度の高い仕事も任せて、成功体験を積ませるようにしています。経験も知識も豊富な年上の男性部下にとっては、私は上司として頼りない存在ではないかと思うこともあります。それぞれの分野で頑張りながら、経営層に働きかけるときは、私が調整役をする、といった役割分担が重要かと思います。
 他に気を付けていることは、とにかく相手の話を良く聴き、相手を否定しないように気を付けています。これは私がすぐに「でも」とか「それは違う」と反対意見ばかり言うので嫌な気持ちになる、と私の夫から教えられて気を付けるようになりました。それと、当たり前のことですが、周囲に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることと、自分が悪いと思ったら、躊躇なく謝ることです。

成功体験を思い出して、何とかなると自分を信じる

Q.ストレス発散やくじけそうになったときのモチベーション維持の方法についてお聞かせください。

 ストレスは体を動かすことで解消しています。以前は走ったり、プールで泳いだりして発散していましたが、最近は、ゴルフとテニスを楽しんでいます。当社では部長以上は、得意先や仕入先様との交流ゴルフに参加しないといけないので、やむなく始めましたが、実際やってみると楽しくて、仕事帰りにゴルフ練習場に行ったり、休日に仲の良い友人とラウンドして、気分転換しています。
 くじけそうになったときは、成功体験を思い出して、何とかなると自分を信じるようにしています。100kmマラソンを走り切ったことや、周年行事を成功させたことなど、つらくても何とか乗り越えた体験を思い出して、あの時よりましと思って奮い立たせるようにしています。
 あと、見えるところに「落ち込み禁止」のステッカーを貼ってます。これは意外と効果的でした。仕事では、どうしても理不尽な要求を受けることもありますが、仕事と割り切って対応できるようにしています。また、なやみ相談やハラスメントの対応では、「頑張れよ」ではなく、どうしてほしいかを聞くようにしています。産業医の先生にも頼るように伝えています。

Q.これから管理職や女性リーダーを目指す女性へのメッセージをお願いします!

 管理職のポジションを与えられると、確かに責任が重くなりますが、周囲からのサポートを得やすくなります。一人ではできないことも、組織で動くと大きな仕事ができます。チャレンジングな仕事を任されて、チームでそれをやり切った達成感は何物にも替え難いものがあります。自信がなくても立場が人を育ててくれるので大丈夫です。管理職になることは、助けてくれる味方が増えると考えて、チャレンジしてみましょう。