インタビュー紹介

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鍵谷 涼子さん

鍵谷 涼子さん

株式会社大新堂
(フタツカ薬局グループ) 
人材開発部課長
人材開発の専門家として魅力あふれる組織づくりを目指して

会社情報

株式会社大新堂
(フタツカ薬局グループ) 
【所 在 地】神戸市中央区小野柄通7-1-1
日本生命三宮駅前ビル9F
【事業内容】保険調剤・一般医薬品販売・健康食品販売・医療用具販売等
【従業員数】390名(女性320名、男性70名)、グループ合計570名(2020年1月現在))

人材開発の専門家として魅力あふれる組織づくりを目指して

 1983年に設立した株式会社大新堂は、兵庫県神戸市を中心に、明石・姫路・加古川・芦屋等に69店舗の薬局とディサービス、保育園を運営しています。地域のQOL向上の一翼を担いたいという目標を掲げて事業を展開しています。
 同社で、人材開発部課長として、人材育成と社内環境の整備業務に携わり「専門職にとって魅力的な職場環境を整備することで、より強い組織をつくりたい」と、語る鍵谷涼子さん。前職(ホテル)での経験が評価されて2012年に入社。7年間の取組の成果と、今後継続的に会社を発展させるための目標、次に続く方へのメッセージ等についてお話を伺いました。

ホテルから薬局へ、人材開発のプロとして転職

Q:これまでの経歴を教えてください。

  大学を卒業後、語学力を活かせる華やかな職場に憧れてホテルに入社しました。希望した営業職は、ホテル全体の知識を得た上でなければ就くことができないポジションだったので、テレフォンオペレーターに配属。お客様とホテルとの最初の会話になることも多く、声だけでのやりとりで、知識をフル稼働して臨機応変に対応する、柔軟さや言葉遣い、気配りの大切さを学びました。4年間のブライダル部門を経て、念願叶って営業職に配属され5年間勤務。人事総務部内にトレーニングマネジャーというポジションができたことをきっかけに、異動。接遇研修や新人成研修、採用業務などを9年間担当しました。
 その後、現在の会社に転職しました。最初は「薬局で自分に何ができるだろう」と驚いたのですが「一度お話を伺ってみよう」と軽い気持ちで面接に伺いまいた。当時は店舗数も現在の3分の1程度であり、今後、組織を拡大するにあたって、採用や研修の専門部署を立ち上げたいというお話でした。「ホスピタリティ(=おもてなし)の心という点では、薬局も同じで、患者さんへの対応にも気を配っていきたい」という社長の思いを聞き、ご縁を感じて入社を決めました。

Q:転職後7年間の取組について教えてください。

 私の所属する人材開発部は、①採用②教育研修③ダイバーシティ・マネジメントが3本柱です。社員の半数が薬剤師、女性が8割の職場です。特に薬剤師は売り手市場のため、流動性の高い職種です。優秀な人材が長く勤務できるよう、会社としての魅力作りが必要だと、意識しています。
 この7年間で、産前産後休業や育児休業等の仕事と家庭の両立に必要な支援制度を、当たり前に利用できる風土がしっかりと定着したことを実感しています。相談業務を行う中で、社員の悩みに耳を傾けることも大切にしてきました。
 また、弊社における「採用」「就業継続」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」といった5項目の現状分析を進めた結果、2019年1月に女性活躍推進に関する取り組みが優良な企業に与えられる「えるぼし認定」 の2段階目を取得できたことは大きな成果だと感じています。

Q:更に成長を続ける魅力的な会社にするために、今後取り組まれたいことは? 

 会社の成長と業績アップには、社員の定着率向上が必要不可欠です。そのためには、それぞれが個性を活かして能力を発揮し、仕事を通じて成長を感じることができる環境整備が必要だと感じ、新しい取り組みを考えています。
 私自身はコミュニケーション力や接遇のスキルアップ研修を担当しています。同じ部署には薬剤師としての専門知識・スキル研修の担当者もいます。専門知識があってもうまく伝えられなければ相手に伝わりませんし、逆に、コミュニケーションが上手でも、専門知識がなければお客様に十分な提案をすることができません。今後も人間力と専門力を両輪として、人材開発を進めたいと考えています。
 また、さらにダイバーシティを推進し「えるぼし認定」の3段階目の取得を目指したいと考えています。
 私自身は、社員のメンタル面のサポート体制を充実させるために、メンタルヘルスマネジメント検定を取得、コミュニケーション研修や面談にいかそうと、米国NLP協会認定NLP™マスタープラクティショナー、コーチングの資格を取得しました。「実践心理学」、「脳の取り扱い説明書」などと呼ばれる勉強で、非常に興味深く、さらに勉強を続けたいと考えています。

Q:仕事をする上で心がけていることはありますか。

 「Practice makes perfect」を心がけて仕事をしています。辞書には「習うより慣れろ」と書かれていますが私は「実践あるのみ、まずはチャレンジしてみよう、もしうまくいかなかったらまた別の方法を考えればいい」と解釈しています。
 前職では、部下に対しては厳しい姿勢で指導する場面もありましたが、時代も流れ、現在は、若手のチャレンジする気持ちを大切にしたいと思っています。たとえスムーズにいかないことがあったとしても、再考しながら成長していく姿を見守るようにしています。
 新卒者採用時の大学生向けのプレゼン等を行うにあたっては、特に若い世代の意見を大事にしています。その甲斐あってか「多様性を認め、寄り添ってサポートしてくれる姿勢が嬉しい」との声をもらいました。

 仕事もプライベートも楽しみ、嫌なことは忘れるように

Q:ストレスはどのようにして発散していますか。

 昔から音楽が好きで、コンサート等で全国に足を運び、この週末も名古屋に行く予定です。特定のアーティストのファンをしていると、ファン仲間もできます。コンサートは、ちょっとした旅行気分と友人との再会の両方を味わうことができます。

Q:仕事でくじけそうになった時のモチベーション維持方法について教えてください。

 「嫌なことは忘れる」が基本です。以前、ストレスに打ち勝つにはレジリエンス(逆境から素早く立ち直り、成長する能力)を高める事が大切だ、ということを学びました。ストレス解消法には、「問題にフォーカスして、そこを解決していく方法」と「違うことに取り組むことでストレス発散する方法」の2種類ありますが、私は後者の方が多いと思います。失敗したことに対する反省は必要ですが、過去にはもどれないのですから、深刻に思い悩まず、反省を次に活かすように心がけています。

Q:家庭生活との折り合いはどのようにしていますか。

 家族は私の仕事を非常に理解してくれており、家事分担も決めず、「向き不向きがあるので、向いてないことは頑張らなくていいよ」と言ってくれています。無理に両立しようとしないことが結果的には、うまくいく秘訣かなと思っています。

自分らしく生きていくためには、目標を持ち続けることが大切

Q:鍵谷さんのロールモデルはいますか。

 前職では、様々なトレーニングプログラムを受けました。複数のホテルが参加するトレーナー育成研修で出会った、プロのトレーナーが私のロールモデルです。英語が堪能なのは勿論ですが、コミュニケーション力が非常に高く、人の心の中に入っていく力を持っていました。
 一週間、缶詰で、毎日8時間勉強した上に、翌日の発表準備に夜中までかかる、研修を毎年受講しました。大変でしたが、とても充実した時間でした。そのトレーナーのようになりたくて、興味を持って学びを継続したことが、今の私の礎となっています。

Q:これから管理職を目指す女性へのアドバイスをお願いします。

 「マネジメントは荷が重い」と感じる方もいらっしゃると思いますが、私はその人なりのスタイルを確立すれば良いと思います。リーダーは「引っ張っていかないといけない」「自分が指示を出して周りの人に動いてもらわないといけない」というイメージがあると思いますが、後ろからサポートしていくリーダーシップもあります。管理職である以上、問題が起った時の責任はもちろんありますが、リーダーになる前に考えずぎることなく、チャンスがあればぜひ引き受けて、それから自分なりのリーダーとしてのスタイルを作ってもよいと思います。
 私自身も管理職になったことで、アクセスできる情報が増え、ものの見方が変化したことを実感しています。会社の中で自分のやりたいことを見つけて、実現していく道を開くためにも、管理職にチャレンジしてほしいと思います。