インタビュー紹介
德田 浩子さん
キャタピラージャパン株式会社
油圧ショベル開発本部 技術管理部
会社情報
キャタピラージャパン株式会社明石事業所/油圧ショベル開発本部
【所在地】兵庫県明石市魚住町清水1106-4
【事業内容】建設機械等の製造
【従業員数】約1430人
会社の女性活躍推進をボトムアップで推進
社員自主活動グループを立ち上げ
キャタピラージャパンは、建設機械の世界的メーカー米国Catapillar.inc(以下キャタピラー社)の日本法人です。明石事業所は、油圧ショベルの研究開発・製造を行い、およそ24万平方メートルの敷地内の、3つの工場と5つの建屋で約1430名が勤務しています。外資系企業として多様な背景を持つ社員で構成されていますが、女性は全体の約1割と少数派です。平成27年に企業内保育所を整備するなど、社の方針として女性活躍とダイバーシティを推進しています。
油圧ショベル開発本部技術管理部勤務の德田浩子さんは、3年前に社内の女性活躍推進のための自主活動グループWIN明石を立ち上げました。会社の支援を受けるグループの活動について、初代代表の德田さんとグループメンバーにお話を伺いました。
“自分らしく活躍する”を考えるネットワーク
WIN明石の立ち上げ
Q.德田さんの経歴をお伺いします。
千葉県出身。一般職としてキャタピラージャパンに入社し、東京の営業部門に配属されました。ディーラー及び顧客向けセールスサポート資料の作成やセールスプロモーションなど販売促進関係の仕事を8年ほど担当した後、営業管理部門に移動してディーラーの損益管理や債権管理を担当しました。その間に上司の勧めで総合職に転換し、管理職に昇進。2009年に明石事業所に転勤して、技術管理の業務を担当しています。
Q.WIN明石とはどのようなグループですか。
WINはWomen`s Initiative Networkの略。キャタピラー社内で女性活躍推進のために活動するERG(Employee Resource Group:社員自主活動グループ)の一つで、全世界に40支部3000人近いメンバーがいます。ERGは、会社が公認するグループ活動で、WINのほかにも若手リーダーを目指すグループや異なる文化背景をもつグループなど、多様な社員が自分の力を発揮するための活動を展開しています。
WIN明石は、キャタピラージャパン初のERGとして2014年2月に発足。現在は、22名のメンバーがSTEM(理系教育の推進)、メンタリング、他社事例研究、コミュニケーション(広報)のチームに分かれ、講演会や社内リーダーとの座談会、メンバー向けの学習会、子ども対象の理系教育のイベント開催など、幅広く活動しています。
社内でも誤解されがちなのですが、WIN明石は決して女性の昇進だけを目標としたグループではありません。キャッチフレーズは“自分らしく活躍する”を考えるネットワーク。メンバーが、自分らしいワーク・ライフ・バランスを考え、お互いの違いを乗り越えて活躍できるような職場環境を作ることが目標です。それぞれが自分の持つ力を十分に発揮できれば、会社の成長にも今以上に貢献できると考えています。
Q.WIN明石を立ち上げた経緯を教えてください。
東京と明石での女性の働き方の違いを目の当たりにしたことが大きいです。2009年に明石に転勤して初めての会議で、会議主催者が女性であることに周囲がとても驚きました。そのような経験を通じて、職住近接する明石は女性社員が出産しても働き続けやすい環境であるけれども、一方で女性の仕事の内容は限定されているのではないかと思うようになりました。状況を変えるために何かしたいと考えていた時に、他国のキャタピラー社でのWINの活動を知りました。日本でよく行われるトップダウンだけではなく、ボトムアップの仕組みとしてWINが重要な役割を果たしていることを知り、ぜひ日本でも立ちあげたいと思いました。情報収集しながら身近な女性社員に声かけするところから始め、イベントなどを通じて徐々に仲間を増やしていきました。
WIN明石で得られたもの
多くの気づきと女性のネットワーク
Q.WIN明石のメンバーを紹介してください。
“ひょうご女性活躍推進のための講師等派遣事業”に参画したメンバーをご紹介します。
北野 紗由里さん WIN明石代表 [写真前列左]
生産管理部門に勤務しています。日々の仕事では「仕事に責任を持つ」ことを心がけています。いろいろな考えをもつ人が、お互いに切磋琢磨して成長できるような場に、WIN明石がなればいいなと考えています。今は試行錯誤しながら活動を進めている状況ですが、メンバーを増やして、様々な分野に取り組めるよう活動していきたいです。
Margarita Veer さん WIN明石副代表 [写真後列左]
ドイツ出身。油圧ショベル事業部の人事部門で社内広報担当として働いています。大学で日本語を専攻し、日本でキャタピラー社に就職しました。異なる文化背景で育ったことも自分の個性としてとらえ、その個性をどう仕事に生かしていくか、どう自分らしくあるかを考えています。WIN明石の一番の魅力はネットワークが得られることです。とても良い出会いが多く、日本での仕事の進め方などいろいろなことを他のWINメンバーに相談できるので、ありがたい存在です。
齋藤 由佳さん WIN明石書記 [写真後列右]
新機種の採算性の管理を担当しています。業務上、海外の方とやりとりする機会も多く、彼らの交渉術やコミュニケーションスキルを学び実践しようとしています。WINメンバーから刺激を受けて、ずっと働き続けたいと考えています。
白澤 孝さん [写真後列中央]
品質保証部に勤務し、社内保育所を利用しています。私の場合、仕事がつまずくと、生活もうまく回らないので、「楽しく」をモットーに、仕事と生活の相乗効果を自ら作り出すようにしています。WIN明石では、いろいろな背景を持つ人が活躍しようとしているのを見て、精神的なサポートをもらっています。
Q.WIN明石として今後どのような活動をしていきたいと考えていますか。
今年度は、“ひょうご女性活躍のための講師等派遣事業”を利用して、「多様な背景を持つ社員間の良好なコミュニケーション」をテーマにしたワークショップを開催しました。女性社員だけではなく、事業所トップを含む男性社員からも高評価を得ることができました。2月には、他の製造業の女性トップの講演会も予定しています。来年度は、実施したい活動がたくさんあって絞り込みに困るほどです。従来の活動に加え、国際女性デーにおけるイベントや、他社訪問による事例研究などに取り組んでいきたいと考えています。
Change(変革)をChance(好機)に!
変化を怖れず前へ前へ
Q.働く後輩女性へのエールをお願いします。
社会が目まぐるしく変化する現代、グローバル化、それに対する反発など、今まで経験したことがないことや過去の経験則では処理できないことが、これからたくさんあると思います。そういう世の中だからこそ、自分が何を成し遂げたいのかをじっくり考えて、変化に対応できる人になってほしいです。
Change(変革)は、Challenge(挑戦)であるが、Chance(好機)でもある。Changeを怖れずに前に進んでください。
企業URL http://kenkipro.com
http://www.caterpillar.com/ja.html