インタビュー紹介
大木 玲子さん
丹波市商工会
事務局長
全国でも数少ない商工会女性事務局長!
会社情報
丹波市商工会
【所在地】丹波市氷上町成松140-7
【事業内容】経営支援
【従業員数】18人(女性8人、男性10人(平成29年12月末時点))
全国でも数少ない商工会女性事務局長!
丹波市商工会は平成19年11月1日、丹波市の6商工会(柏原・氷上・青垣・春日・山南・市島)が合併し発足しました。「繁栄する企業づくりをとおし、地域活力を創造します」を基本理念とし、経営相談などの各種相談、事業所向けの研修や講演、地域づくりイベントの開催など幅広く事業に取り組んでいます。
丹波市商工会の事務局長として会員さんや地域の人々に親しまれ、関係機関や団体、行政等と協働しながら、パワフルに活躍し続けておられる大木さんに、いきいきと仕事を続ける秘訣などを伺いました。
仕事を簡単に諦めない
Qこれまでに特に自分を成長させてくれたと思える仕事は
丹波市の6商工会が合併する時に、経理を一本化する仕事を与えられました。各商工会で経理の方法が異なっていたため、関係者からは一本化には最低でも3年かかると言われていましたが、当時の会長と局長から1年半で実施するよう指示を受けました。私自身、自分の実力以上の仕事ではないかと不安に思いましたが簡単に諦めたくない性分で、期間内での達成を目指して取り組もうと決めました。
業務が夜間に及ぶことも多々ありましたが、それについて辛いと思ったことはありません。自分の中で、商工会に貢献したいという思いと会長や局長に期待されているという思いがあったからです。ただ、しんどいのは、しんどかったです(笑)。深夜の帰り道に涙が出ることもありましたが、組織の役に立ちたいという一心で頑張り、1年半で当初の目標が達成できたことが仕事への自信に繋がったように思います。
Qさらに職域を広げ活躍するチャンスが
合併し、商工会の運営が軌道に乗り始めたころに女性として初めて経営支援課に配属になりました。経営支援の主要な業務は、男性2人と私のたった3人の職員で約2,400人の会員さんを巡回支援するというものでした。今まで経理の仕事しかしてこなかった私は、融資についても全く分からない素人でした。そのため、巡回しても会員さんに助言さえもできず、加えて女性が何をしにきたのと対応されることもあり、正直なところ女性にこの仕事が続けられるのか不安や迷いがありました。男性2人が会員さんに様々な支援を行う姿を見ながら、何もできない自分を情けなく思うと同時に私が担当する会員さんが気の毒だとも思いました。そこで、毎日朝から晩までがむしゃらに巡回するだけではなく、私に出来ることが他にないかと考え、巡回以外に相談を受けたり情報提供できる機会を増やす方法を工夫し、会員さんのニーズに合った講師を探してセミナーや講演会などを企画、実施しました。回を重ねる毎に参加者が増え、会員さんに喜ばれ好評を得たことで、同じ業務でも自分なりにできる方法を考えればできる、やればできると実感したものです。
巡回訪問時もその場で即答できないことは持ち帰って回答することを心がけ、それを徹底したことで、少しずつ会員さんとの信頼関係を築くことができました。
自ら、1日15件を目標に巡回していることが商工会の理事会で話題になり、実際の取組について説明をしたところ、商工会の業務として巡回支援を事業化していただけることになりました。その結果、「一つのセクション(3人)で取り組むのは現実的ではない、これを契機として職員全員で会員の経営支援に取り組むべき」という意見があり、訪問回数等細かなルールづくりやチーム支援、課内でのフォローアップの強化など体制を整え現在も継続しています。
Q女性商工会事務局長に就任して
次長兼経営支援課長から事務局長へと責任が重くなるにつれて強く思うようになったことは「新たな取り組みを避けない!できない理由を探す前にできるように考える!」です。これをモットーにしています。そして、日々心掛けていることは、報告・連絡・相談プラス確認で、職員一人ひとりの目標にも掲げています。
特に、会長と事務局長の仕事でのコミュニケーションは大事だと考えていますので、全て伝えるようにしています。特にリスクが想定されることは、前もって全部伝えるように心がけていますので、一日何回も電話をしています。会長は常勤ではないので、かつては月1~2回の会議に出席される程度でしたが、ありがたいことに、今では毎月の職員会議だけでなく、毎週1回の会議にも出席される等、頻繁に商工会に顔を出して頂くようになり、信頼関係を築くことに繋がったと思います。
会長からは様々な指示をいただきますが、部下の業務量等を考えて、時には反論することも私の任務だと思っています。その場合でも、ただノーと言うのではなく、別の方法を提案するように心がけています。
職員に対しては、自然体でお節介おばちゃん(繋ぎ役・調整役)になりきり、1日1回の朝礼で「はっきり相手に伝える、動いてもらえるように伝える」ことを心がけています。職員から「局長はわかりやすい!」と言ってもらえることが何よりの喜びです。
家庭と仕事の両立
Q仕事で遅くなったとき、家族との関係は
結婚した時から三世代同居でとても良い環境で子どもを育てることができたと思っています。
仕事で遅くなった日の翌日でも、朝3時か4時頃に起きて家事等をし、仕事を理由に手を抜くことはしませんでした。仕事と家庭の両立が大変と思われるかもしれませんが、仕事をしている間は、祖母に家の事を任せっきりになっていましたので、家族に対して申し訳ないとの思いから、自分ができるときにはやるのは当然だと思っていました。
子どもが高校生の頃、部活動もしていたので、朝早くに起きお弁当を作って、仕事の前後に送り迎えもし、その頃は寝る間もなかったですが、若さでなんとか母親の役割も全うできるように努力してきました。ただ、子育ての中で一番辛かったのは、子どもを保育所に預けていたころ、子どもへの後ろめたさを感じながら仕事に行く事でした。周りの子ども達がお母さんと一緒に遊んでいる姿を見ながら「遊べなくてごめんな。」と子どもに謝っていたものです。そんな子育てでしたが、息子たちは昔から毎年花を贈ってくれ、十分に時間は取れなかったものの仲の良い親子関係を築くことができましたので、それも仕事を頑張れた要因の一つだったのかもしれません。
見栄を張らず、賢ぶらず
Q これから管理職やリーダーを目指す女性にエールを
誰もが仕事や職場に対していろんな思いを持っており、それは前向きなことばかりとは限らないと思います。自分が上役になった時に嫌な思いをしたこと、おかしいと思ったことを同じようにさせるのではなく、やりやすいように変えていくことが管理職としての務めの1つだと思います。
長く勤めていると知識や経験が豊富になり、なんでも知っていると慢心になりがちですが、常に謙虚な気持ちを忘れずに日々、学ぶという意識を持ち続けたいと思っています。そういう意味では、私が心がけていることは、賢ぶらずに「あほ」になることです。見栄をはらず、時には部下に頼ることも素直に謝ることも必要だと思います。そうすることで、部下との信頼関係も生まれてきます。
誰に対しても何に対しても分かりやすく、見栄をはらずに素直な気持ちで物事に向き合うこと。そして、常にたくさんの人々に支えられているという感謝の気持ちを持ちながら、日々精進していきたいと思っています。その積み重ねが仕事や職場での信頼に繋がるのではないかなと思っています。
(取材を終えて)
誰もがいきいきと活躍できる職場づくりに職員皆で取り組んでいかれることを期待しています。