発起人からのメッセージ(50音順)
井戸 敏三(兵庫県知事)
本格的な人口減少社会の到来を迎えています。これからも社会の活力を維持し、新たな時代を切り拓いていくためには、社会の担い手として女性が職場・家庭・地域等あらゆる場面において、個性と能力を十分に発揮し活躍する社会の実現が不可欠です。今夏には、女性活躍推進法が成立し、社会全体の機運も高まりつつあります。本県では、「新ひょうご男女共同参画プラン21」に基づき、女性のチャレンジを支援する様々な取り組みを展開してきました。また、率先行動計画-ひょうごアクション8-では、「平成32年までに女性管理職比率15%達成」など、具体的目標を掲げ、自らがモデル職場となるべく取り組みを進めています。女性の活躍推進会議は、活躍する女性をはじめ、経済・労働団体、報道、行政等のトップが女性活躍推進を呼びかける会議です。今後とも、この会議を核として、メッセージを発し、関係団体との連携を図りながら、女性が活躍し、すべての県民が将来に夢や希望を持つことができる社会の実現をめざし、皆様と共に努力してまいりたいと考えます。
井野瀬 久美恵(甲南大学教授・日本学術会議副会長)
男女共同参画(英語で言うところのGender Equality)は、次代の若手育成ともに、各界で求められているダイバーシティ(人材多様化)推進の強力な武器です。少子高齢化による人口減少社会への道を突き進む我が国にとって、きわめて重要な未来戦略――それが男女共同参画に他なりません。現在、私が身を置く学術・科学技術の世界を含めて、各分野・組織では、男女共同参画を実質的に進める具体的な手法、及びそれを実現しようとする高い志が求められています。こうした状況を強く意識し、議論と実践の試行錯誤を重ねながら、兵庫県独自の指標や手法を全国発信できればと願っています。
今村 弥雪(女性産業人懇話会(VAL21)代表幹事)
VAL21は兵庫県経営者協会の中の分科会の一つで、企業や行政の女性達が集い、ネットワークを広げたり、女性活躍推進に向け行政や企業へ働きかけたり、様々な活動をしています。現在取り纏めている女性活躍推進のための提言を一部ご紹介します。まず、女性への提言として、広く社外にも目を向け仕事と家庭を両立しながら活躍し続けるロールモデルを見つけ、また自らもロールモデルとなり後輩に背中を見せること。企業への提言として、男性社員の育児参加を促進すること。そのために働き方の見直しや社内風土の変革をあわせて行うこと。行政への提言として、現在取り組んでいる女性活躍推進について一過性のものにせず、長期にわたる継続した活動・PRを行うこと。これらの提言の実現を目指し、当団体からも県下の女性活躍推進に向けた発信をしていきたいと考えています。
大橋 忠晴(兵庫県商工会議所連合会会頭)
グローバル化の進展や少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少など、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。このような変化に柔軟に対応し、企業が持続的に成長発展していくためには、多様な人材の社会参加を促し、その能力を最大限発揮していただくことが求められます。その意味で、市場のトレンド変化に敏感な女性の視点や感性を活かし、企業の競争力や価値の向上に繋げていくことは、誠に時宜を得たものであると考えます。人口減少時代を迎えた今、女性が活躍する元気な兵庫の実現に向けて、本会議に参加する各機関が相互に連携・協力し、実効性のある取り組みが展開されることを期待します。我々企業経営者も、県民の一人ひとりが活躍できる社会、なかでも、女性が多様な価値観や能力を存分に活かせる職場環境の整備に取り組んでいきたいと考えています。
木南 岩男(兵庫県商工会連合会会長)
商工会地域においては、過疎化・少子高齢化がより一層進行しており、また地域経済を支えてきた事業者の減少により、移動の足が限られている高齢者が「買い物難民」となるケースも生じるなど、日常生活の基盤であるコミュニティの維持すら困難な地域も現れています。こうした中、県下の28商工会の女性部(部員数2,206人)では、地域における防犯・防災活動や高齢者福祉、伝統・文化承継など地域コミュニティの維持活動に積極的に携わっています。当会としては、地域コミュニティ維持活動や女性の起業、創業を促進する人材支援事業を通して、女性の活躍を推進し、地域の活性化を進めてまいります。また、商工会内部おきましても、女性職員の管理能力をより一層高め、女性管理職の登用を積極的に働きかけてまいります。
清原 桂子(ひょうご女性未来会議代表、神戸学院大学教授)
兵庫県の15歳以上女性有業率は全国46位ですが、就業希望者の割合は全国的にも高く、出産後の就業継続や再就業を希望する人への支援が必要です。そのためには、①子育てや介護と両立できる保育・介護サービスなど制度の充実、②職場における支援制度と上司や同僚の理解、③夫や家族の理解と家事・育児等の分かち合い、④本人の覚悟とエンパワーメント(力をつけること)が重要です。また、それらを進めていくための相談体制や学習・研修の機会、さらに、異業種間、あるいは民間と行政をつなぐネットワークも大切です。ネットワークが広がれば、先輩女性のロールモデルを知り、思いがけない発見や情報が得られ、何より仲間が得られます。この「ひょうご女性の活躍推進会議」がひょうごの元気の推進力となるよう、活発な議論と取組を進めることができたらと思います。
高士 薫(神戸新聞社代表取締役社長)
神戸新聞社は地域に根ざす新聞社の立場から、女性も男性も多様で柔軟な働き方ができる社会の実現に向け、地域の活力や魅力につながるさまざまな取組や課題について精力的に報道してきました。当社には女性記者が全体の約2割、33人います。早くから育児休業を有給にしているほか、社内に託児所を設けるなど、社として仕事と家庭の両立支援に取り組んでいます。また、女性の管理職登用も徐々に進んでおり、経済部、報道部の部長は女性が務めています。こうして社員の多様な働き方を支援することが組織の力を高め、男性社員の意識変革を促し、生活者の視点に立った、読者の求める多角的な報道を可能にすると確信しています。今後も行政や読者に対して提言する力を磨きながら、多様な働き方、生き方ができる社会の実現に向けて、一翼を担っていきたいと考えています。
田中 裕子(株式会社夢工房代表取締役)
私が就職した頃は、女性は、結婚・出産したら退社するのが当たり前でした。そんな状況を目の当たりにし、「優秀な女性技術者に働ける場を」との思いから、今から30年前に女性ばかりで、コンピュータのソフト開発会社を起業しました。創業当時から、「結婚しても出産しても働き続けられる会社を」と考え、ライフスタイルに合わせた働き方を認め合いながら、その人が出せる力を精一杯活かせる仕組みを皆で考えてきました。「ワーク・ライフ・バランスや女性活躍推進なんて零細企業では無理」との声を聞きますが、小さいからできることがあります。あるいは、小さい会社だからこそ、一人一人が能力を精一杯発揮していただく仕組みが必要です。試行錯誤しながら、会社にとって一番ふさわしい方法を見つけてほしいと願っています。
辻 芳治(日本労働組合総連合会兵庫県連合会会長)
連合では、1989年の結成以来、数次にわたる男女平等参画推進計画を策定し、さまざまな取組を進めてきました。現在、女性の就業を巡る様々な問題は、男性の長時間労働を前提とした働き方、社会全体の固定的な性別役割分担意識が、大きな障害要因になっているのではないかと考えます。当団体としては、女性の活躍推進に取り組むにあたり、単に女性に限った問題と捉えたり、人口減少対策として女性を経済的な観点で活用して経済成長を果たすと捉えたりするのではなく、男女がお互いを尊重しつつ役割と責任を分かち合い、性別に関わりなくその経験や能力、個性を十分発揮できる社会環境、企業風土、文化、さらには職場の風土づくりを目指していくとの捉え方が必要であり、働く女性の処遇改善の施策とともに男性の働き方も含めて取組を進めることが不可欠であると考えています。
戸田 善規(兵庫県町村会会長)
全国の自治体は人口減少社会への対応という共通した課題を抱えています。そのため、各自治体では地方創生への取り組みを強力に進めていますが、そのキーワードの一つは「女性の活躍」であると考えています。これを男女共通の課題として捉え、働き方、出産、育児、介護といった問題やワーク・ライフ・バランスをどう進めていくのか等について、地域や組織が一丸となって取り組むことが重要です。このような積み重ねが、女性の社会進出のバックアップにつながっていくものと思います。生まれ育った子どもたちが居続ける地域、ずっと住み続けたいと思えるような地域づくりには、女性の視点、女性の力が必要不可欠です。女性が元気な地域には活力があります。それが持続可能な地域づくりへ、新たな地方創生へつながっていくものと考えています。
中山 明広(兵庫労働局長)
女性が職業生活で活躍できるためには、採用・教育訓練・昇進といった機会が積極的に設けられることが重要です。加えて、男女ともに職業生活と家庭生活の両立を可能にするために、社会全体で労働時間や休日等、働き方の見直しを進めていく必要があります。そのような問題意識の中、労働行政では、各企業における女性活躍の推進やワーク・ライフ・バランスの実現に向け、有力な労使団体、企業のトップとの協働により、地域全体における気運の醸成を図っております。「ひょうご女性の活躍推進会議」の発足は、かねてからの念願が叶った思いですが、これはゴールではなく、あくまでスタートです。この力強い組織の力を目一杯活かすことにより、今後、女性の活躍推進や、男女を通じた働き方の見直しに向けて社会の機運の醸成、取組の加速化につながるものと期待しています。
成松 郁廣(神戸経済同友会代表幹事)
神戸経済同友会では、2014年度の活動テーマとして、「女性が輝き、イキイキ元気に活躍する兵庫・神戸をめざして」を掲げ、様々な活動を行っており、中でも「意識改革」が重要だと考えています。経営者の意識によって、企業の取組みは大きく違ってきます。中小企業は人事のやりくり等で苦労しますが、反面、画一的な取り扱いをせずに各人に合わせた柔軟な就業条件を考えやすいという利点もあります。すなわち経営者の考え方次第で、女性活躍推進が進みやすいとも言えます。「女性が育児や家事労働に専念する」という考え方は、サラリーマン家庭が一般的になったごく限られた期間に出来上がった考え方にすぎず、「女性活躍推進」は日本の伝統的な在り方に立ち返るものだと考えています。こうした社会一般の通念も含めた意識改革について、今後も取り組んでいきたいと考えています。
藤浪 芳子(昭和精機株式会社代表取締役会長)
私は34歳の時、介護と育児に携わる専業主婦から、突然町工場の経営者になりました。それまでの家庭での経験に基づき、当社は、女性の環境の変化に合わせた多様性のある働き方を推奨しています。新卒女子社員には、「結婚して子供を産んで、ここで働き続けてほしい」とお願いします。子育てを経験した女性は、子供のために自分の命をも投げ出す覚悟を持ち、その決断力、包容力、忍耐力、すべてを受容するしなやかさは、企業の力強い戦力です。また出産・育児を乗り越え働き続けている女性は、後進の女性のロ-ルモデルとして勇気と元気を与えます。同じ立場ならではの意見やアドバイスは、女性が活躍できる土壌をより広げ、安定したものにするでしょう。男女が協力し合い、それぞれの特性を生かして役割を全うし、人間味あふれる豊かな地域づくりに貢献できますことを願っています。
古山 陽子(P&Gジャパン執行役員)
P&Gは、170年以上に渡り、世界中の人々の日々のくらしを支える消費材を製造販売してきました。優れた品質の製品をお届けするためにも、それを担う人こそが会社にとって一番重要な資産であり、社員こそが成功の礎との考えから社員の育成には力を注いでいます。P&Gジャパンでもかつては男性社員が中心となって活躍していましたが、今までのマネジメント達が「多様性・ダイバーシティはビジネスを伸ばしていく為に必要な投資である」と判断し、現在では社員の約半数が女性、管理職や役員においても女性が30%以上を占めています。多様な人材の登用により、経営戦略に多様な視点をもたらすことができています。継続的なビジネス成長と今後の少子・高齢化社会を鑑みますと、男女を問わない多様な優秀な人材が、企業のニーズを満たしながら、個人のライフスタイルやライフステージに合わせて働いていける、もっと柔軟な働き方を実現する社会の構築が肝要だと考えます。
三原 修二(兵庫県経営者協会会長代行)
兵庫県経営者協会は、女性活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進といった観点から、女性産業人懇話会VAL21を立ち上げたほか、人事・労務・雇用に関する専管団体の立場から、女性活躍推進に関しこれまで様々な提言を行ってきました。企業や従業員を取り巻く就労環境が大きく変わってきています。女性だけの問題ではなく、男性も含め、企業ひいては社会全体の問題として、働き方の見直しが必要です。企業としては、女性活躍推進を戦略的な課題と位置づけ、人事政策や運用と適合させていくことが重要です。単なる男女平等ということに留まるのではなく、全従業員の能力を高め、努力の方向性を一致させていくことが重要です。当協会としては、企業・団体間の交流、啓発によりこの状況についての理解を深めてもらうとともに、実際の施策展開や実務について具体的なアドバイスを行っていきたいと考えています。
山中 健(兵庫県市長会会長)
兵庫県内には29の市があり、それぞれ特色のあるすばらしい市ばかりです。しかし現在、共通して抱える課題は、人口減少をいかに止めるかということです。それぞれの地域で、生活し続けたいと思えるまちづくりには、女性の視点は不可欠であり、行政の意思決定の場面に女性をもっと登用する必要があります。昨年度4月1日時点での県内の市職員の管理職に占める女性の割合は14.7%で、年々増加していますが、まだまだ途上です。更に女性の活躍を推進するためには、男性も含めた組織全体で、人材育成に加え、仕事と家庭生活とのバランスを保つため、長時間労働の解消と、出産、育児、介護などに際しての職場と地域の支援が必要です。女性が持てる力を更に発揮できるようになれば、組織や地域を活性化し、住みよいまちづくりにも大きな成果をもたらすことと確信しています。