インタビュー紹介

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大平 明美さん

大平 明美さん

山陽特殊製鋼株式会社
粉末事業部 粉末技術部
粉末分析課 粉末分析作業長
モノづくりへの深い愛情を持ち、女性初の作業長として仕事に取り組んでいます。

会社情報

山陽特殊製鋼株式会社
【所 在 地】姫路市飾磨区中島3007番地
【事業内容】特殊鋼の製造及び販売
【従業員数】1,612人(女性182人、男性1,430人(2017年3月末時点))

確かな技術力を維持し、時代の変化に対応できる組織に

 1933年創業。国内の特殊鋼専業メーカーとしては唯一鋼管製造設備を保有し、特殊鋼材、鋼管、素形材などを主にリサイクル原料の鉄スクラップから生産しています。
 女性社員は全体の1割程度と少数ですが、女性が活躍できる職場環境づくりを講じながら、全社員が働きやすい職場づくりを積極的に進め、2015年にはダイバーシティ経営企業100選に選ばれました。製造現場への女性登用もトップダウンで早くから取り組み、現在では夜勤など交替勤務をこなす者も含め、50名が技術職として製造現場で働いています。
 個人を大切にして活躍を促す理念のもと、同社初の「女性作業長」として現場を指揮する大平明美さん。仕事に取組む姿勢や、女性リーダーを目指す女性へのメッセージなどについてお話を伺いました。

ものづくりに対する愛情

Q これまでの経歴を教えてください。

 私が就職活動した平成2年当時は、キャリアセンターなどもなく、就職先の選択肢が限られた時代でした。地元の優良企業での女性研究補助職員の募集を見つけた時に、私の中で温めていた「化学分析の仕事をしたい」という純粋な気持ちで応募しました。技術職の同期約40名の内、4名が女性技術職第1期生として採用されました。同期女性3名は、残念ながら結婚や出産を理由に30歳前に退職しました。
 入社以来、出荷前製品の成分が、社の規定に合致しているか否かの分析・評価を担当しています。近年、技術革新のスピードが非常に速く、次から次へと新しい製品が生み出されます。検査手法が確立していない製品の成分分析について検討し、新しい切り口や方法を開拓していくことが楽しくてたまりません。

Q 同期の女性が退職される中で働き続けた理由は?

 私自身が興味を持って飛び込んだ会社ですので、学びたいことが多くあり、辞めるという選択肢はありませんでした。自立心が強く、定年まで働くことは入社当時から持ち続けている一貫した思いです。仕事が楽しかったので、時間を忘れて納得できるまで突き詰めて働くことができました。たとえば、分析を行うために条件調査や前処理技術の検討も多いです。知識習得のために社内研修だけでなく、社外セミナーに出向いて第三者機関の技術力認定や公式資格を取得して、スキルアップしてきました。
 ものづくりが楽しくて、ただ「がむしゃらに働いた」という表現が似合うかもしれません。そういった時代でした。めげない性格も相まって、自分らしく前に進むためにはどうすれば良いかを常に考え、様々な困難も乗り越えてきました。
 更衣室やトイレなどの環境整備が進んだことで、現在は技術職女性が50名となり、工場内で女性を見かける機会も増えました。まだまだ男性中心の職場ですが、育児休業を取得した女性が復帰するなど、社内での女性活躍は着実に進展しています。

Q 作業長として意識が変わりましたか?

 作業長に就任したのは2016年4月です。試験制度による登用ではなく、組織を率いる力、業務を効率的に進める力、向上心や人間性を総合的に判断して任命されたと思っています。現場で働く技術職900人弱のうち55名が作業長、女性は私だけです。5名の部下(男性3名・女性2名)を持ち、社・部の安全・品質方針を基にチームを指揮しています。
 一般から班長代行、班長、そして作業長と昇進します。班長の仕事はチームをまとめる班内調整が主でしたが、作業長になると研修や情報交換の機会が格段に増え、部門を超えた横のつながりが広がりました。作業長は各部門を代表する監督者なので、「女性」というよりも監督者仲間として受け入れられています。作業長会議では、女性視点での意見も心がけ、女性が働くにはまだまだ改革が必要な組織に風を送りたいと考えています。女性を部下に持つ男性から相談を受ける機会も増えました。唯一人の女性作業長として、社内の橋渡し役になりたいと感じています。
 また、「働き方改革」の動きを受けて、働き方を再点検する必要性を感じ、全社でノー残業デーを設定しているほか、有休取得率を70%に上げるために、計画的な取得の調整も図っています。研究分野で仕事する身には、非常に厳しい時間の縛りを感じることもありますが、社の方針を伝えてチームをまとめることも作業長の仕事です。業務の効率化をチームで工夫しています。子育てや親の介護により時間的制約がある従業員もいます。お互いをカバーしつつ、生産性を上げるチームづくりを考えるようになりました。

自分を信じて仕事に取り組む

Q 監督者に求められる資質は?

 私自身ができているかは分かりませんが、業務内容の理解、部下への目配りや気配り、効率よくそして全体を見ることができる視野が求められると思います。個々でそれぞれ良いところがあっても、全員で仕事をしていく必要があります。うまくチームをまとめるためのコミュニケーション能力も必要です。
 私の場合、初対面の人と話すことが好き、好奇心旺盛なところ、落ち込むことなくなるべく前向きに考えるところが役立っているかもしれません。何より健康であることは親に感謝しています。私が日々心がけていることは、同じ目線で部下の話や意見を聞き、解決策を常に考えることと、適材適所です。

Q これから監督者を目指す女性へのエールをお願いします。

 監督者としての枠にとらわれることがあるかもしれません。また、力量不足を感じて、プレッシャーで押しつぶされそうになる事があるかも知れません。個性を知り、自分が唯一無二の存在だということを認識しながら、目の前のことに一生懸命取組んでいただきたいです。毎日の積み重ねを意識しながら、自身のステージを一歩ずつ前向きに、頑張り過ぎずに歩んでほしいと思います。