インタビュー紹介
豊田育子さん、久保友香さん
ミツテック株式会社
事業推進部総務課課長補佐 豊田育子さん
事業推進部総務課情報システム室 久保友香さん
「人を大事にした企業だからこそ、活躍できる仕事は無限大」
会社情報
会 社 名:ミツテック株式会社
所 在 地:兵庫県淡路市中村134-1
事業内容:機械器具製造業
従業員数:総数83名(男性:74名、女性:9名)
時 点 :2021/3/1
「人を大事にした企業だからこそ、活躍できる仕事は無限大」
ミツテック株式会社は1987年設立。ミツ精機株式会社の特機事業部を分離・独立し、設立されました。同社は画像処理検査装置事業や自動化装置事業、製造受託事業を行う機械製造会社です。環境への対応や循環型社会の構築の重要性を認識し、社会から信頼と支持が得られる会社を目指されています。
今回は、事業推進部総務課課長補佐の豊田育子さん、事業推進部総務課情報システム室の久保友香さんのお二人に「人を大事にした働き方」についてお話を伺いました。
Q.これまでの経歴を教えてください
豊田さん:大学を卒業し、入社して以来総務一筋20年です。入社から8年目に産休・育休で1年間休職しましたが、育休明けはフルタイムで復帰しました。目の前にあることを一生懸命取り組んで充実した20年という感じです。少し前に総務課の人員が増え、これまでの担当業務とは違う仕事に挑戦することができるようになりました。1年半前に課長補佐となり、「女性管理職第1号」になりました。自分の仕事を認められることや期待されることはうれしく思います
久保さん:大学卒業後は物流企業に就職し、大阪のオフィスで働いていました。しかし、いろいろと矛盾を感じる部分や葛藤があり、2年で退職しました。その後、地元淡路島にUターンし、パートでしたが弊社に募集があり応募しました。面接の時に「正社員で働きたいよね」という話があり、その希望の旨を伝えました。1年間技術部でパートとして働いた後、正社員となり営業部に異動し7年間、その後生産推進課や経営企画室に所属していました。産休・育休を2回取り、2019年8月に復職し、現在は情報システム室に所属しています。
Q.組織における人間関係や協力体制づくりにおいて気を付けていることはありますか?
豊田さん:約3年前から人材育成・働き方改革研究会を設置し、活動しています。その活動の一つとして、若手社員の離職防止のためにメンター制度を導入しました。研究会メンバーは、各部署のベテラン社員10人程度で構成し、私はそのリーダーを引き継ぎました。一つのテーマで話し合っていても、話が複雑でまとめるのが難しくなることがありますが、部署を越えた研究会では、他の部署の知らなかった情報がわかり、有益な情報交換の場となっています。会社に求められていることやそれに対する考えなどを話すことで、風通しのよい人間関係も出来てきていると感じています。一緒になって考える、そういった関係づくりのできる環境が重要であると思います。
Q.研究会に加え、お二人が会社に働きかけたことはありますか。
豊田さん: 12年前、2009年に当社で初めての育児休業を取得しました。それまでは、女性社員は結婚や出産で会社を辞めていて、育児休業を取得された方がいませんでした。私は結婚や出産を経ても働きたいし、家庭と仕事の両立を目指したいと考えていたので、会社の就業規則を調べて規則が現行の法律に則していない部分を修正しました。私としては、育児休業を取ることに誰も歓迎しないのではないかという不安もありましたが、その時、育児休業を初めて取る会社に助成金があることがわかり、助成金を受けられるようにしました。女性が育休を取ることは、会社にもメリットがあることを伝え、産休・育休の制度を整備しました。それ以降、女性でも長く働ける環境ができたと思います。
久保さん:正社員の時、子供が欲しく妊活がしたいと思いましたが、妊活には時間的制約が伴う為、急にお休みを頂くようにもなります。自分の仕事も気になり、休みを取るのにも気を遣う為、退職したいと当時の上司に相談したところ、出勤日数や負担を減らしながらでも仕事を続けた方が今後のためにもいいと、私の希望を取り入れた負担の少ない勤務形態でのパート契約に変更してくれました。仕事に復帰する時も、総務の方の助力で配慮してもらい不安なく復帰することができました。また、2020年3月の緊急事態宣言下で子供が通園しているこども園の登園自粛要請が出た時は、夫婦どちらかが家に居られるよう調整した時間での出勤・退勤時間の変更やお休みを上司に相談したところ受け入れてもらえました。小学校のように強制ではないので、会社に希望が受け入れてもらえるかどうか不安もありましたが、このように話し合いの場を持ち、事情を聞いて社員の状況を理解し、柔軟に対応してくれる会社だからこそ、今まで働き続けられていると思います。
Q.仕事と家庭を両立するうえで大切にしていることはありますか?
豊田さん:私は「頑張りすぎない・頼れるところは頼る」ことを大切にしています。私の自宅から、実家まで車で1時間かかり、親も高齢で子どもの世話を頼みづらいので、行政サービスなどを活用し、頼れるところは、頼ることにしています。
また、子どもとゆっくり話をして、子どもが何を求めているのかを聞くようにしています。同時に、働いているところの写真を見せたりして、母親の状況もしっかり伝えることを意識しています。写真を見せると、私がどんなことをしているか想像できるので、今までは「お母さんが家にいたらいいのに」といっていたのが、「お母さんも頑張って仕事をしている」と応援してくれるようになりました。仕事でも家庭でもそうですが、自分一人でやりたいことをやるということではなく、お互いの考えや気持ちを理解して協力し合うことが大事だと思います。
Q.ストレス発散するために何かしていますか?
久保さん:以前は子供を連れて動物園へ行ったり、神戸の方に出かけ買い物をしたり、食事をしたり、仕事からも家事からも離れた時間を作ることで、ある程度リフレッシュできていました。けれど、このコロナ禍ではできず、今は1人でお風呂に入ることが一番のリラックスタイムです。仕事で行き詰まることがあっても、湯船に浸かっているとふと閃くことがあります。仕事中に凝り固まっていた頭がリラックスすることで解きほぐされ、発想の転換が出来るのだと思います。そういう時間は大切だと思います。また、淡路島は空気がきれいなので会社を出て、外の空気を吸うと、気候や香りで季節を感じ、気持ちがすっとし、気分が落ち着きます。
Q.これから取り組みたいことはありますか?
豊田さん:部署のメンバーや体制が大きく変わり、この1年は、新しいメンバーに仕事の引継ぎをしました。新しい業務で、特に力を入れているのが採用活動です。これまでも活動は行っていますが、実績としても採用がうまくいっていない側面がありました。採用活動をガラッと変えて学生向けのインターシップを計画したりしています。総務課の目標としてもより良い会社を目指して、採用、人材育成、働き方といったテーマで幅広く取り組んでいきたいです。
久保さん:2020年4月から情報システム室に配属になりました。情報システム室では、主にRPAツールを使った作業の自動化やグループウェアのアプリを作成しています。パソコン上の定型作業は自動化出来るので、ソフトウェアのロボットを使うことによって定型作業をする負担を減らし、その人にしかできない作業に取り組める時間を作り出すことが出来ています。グループウェアのアプリは、アプリを利用する事で情報共有ができ、より綿密にコミュニケーションが取れるよう、使用者の意見を取り入れながら使い勝手を向上させています。これらのソフトウェアを通じて、時間の有効活用や作業の効率化を図り、生産性の向上につながればと思い取り組んでいます。
今まで、いろいろな部署で様々な仕事を経験しており、いかに効率よく仕事をするかを常に考えていました。同じ事をやっていて無駄な作業があると感じたり、こんな機能があったらいいなと思ったり、その経験を活かしてこれから提案につなげていきたいです。実務をしている社員の声を聴きながら、使いやすく皆が必要な情報がすぐに手に入る実用的なシステムの実現に向け尽力したいと思っています。また、最近、複数のファイルにまたがる大量で複雑なデータを集計したいという要望があり、エクセルでは解決できない為VBAの勉強を始めました。分からないところは同じ部署の人に教えて頂きながら、自分が作ったものがうまく動き、瞬く間に資料が作成される様子を見ると面白いと感じますし、新しいことに挑戦する楽しさを感じます。これからも分からないことを減らし、知っていることを増やす努力をしていきたいです。機械製造の会社というと女性は敬遠しがちですが、いくらでも活躍する仕事があると実感しています。
▶これから管理職を目指す女性にエールをお願いします。◀
豊田さん:当社でも女性の活躍を少しずつ意識し、会議でもそういったワードが出たりしますが、まだまだ具体的な取り組みに至っていないのが現状です。管理職に求められるスキルは男女に違いはないと思いますが、「女性ならでは」とか「独自」の視点や考え方も生かすことができればよりいいと思います。私もそれを目指していますが、まずは小さな気づきや簡単な取組みからチャレンジし、ひとりではできない難しい課題に対しては、「機会があればチャレンジしよう」と、準備をしながら時期を待ち、チャンスを逃さず課題に取りかかるようにしています。その時その時の、ベストを積み重ねチャレンジすることが大切だと思います。
ありがとうございました。
それぞれのキャリアを歩んでこられたお二人のお話から、会社と従業員が丁寧に話し合って「人を大事にした働き方」を実現されようとしていることが伝わりました。女性活躍や人を活かす組織作りには制度と風土が大切といわれていますが、制度も風土も作ってこられた過程、また今も作り続けている様子をお聞きすることができました。また「人を大事にする」を根本に会社が個別柔軟性を持った対応をしてくれることで社員は安心して意欲的に働くことができるのだと感じました。本日はお忙しい中、貴重なお話を下さりありがとうございました。