インタビュー紹介
貝原 沙織 さん
株式会社PLAST(リハビリモンスター)
トレーナー
「やらない後悔」よりも「やった後悔」。挑戦してみることを大切に。
会社情報
株式会社PLAST
【所 在 地】神戸市長田区腕塚町4丁目2ー1
【事業内容】デイサービス、訪問看護、ほねつぎ、セミナー・勉強会 等
【従業員数】34名(女性21名、男性13名(令和2年6月1日現在))
「やらない後悔」よりも「やった後悔」。挑戦してみることを大切に。
株式会社PLAST(プラスト)は、2014年に2人の若い理学療法士が創業。「想いを叶えるカラダをつくる」を企業理念に掲げ、地域に根差した医療福祉ベンチャー企業として、高齢者向けデイサービス施設や重度障害児向けデイサービス施設、訪問看護ステーション、福祉用具レンタル店等を展開しています。
長田区の歴史ある大正筋商店街に店舗を構える、リハビリ予防施設「リハビリモンスター」は、介護予防のための個別トレーニングを中心に、高齢者以外の方にもピラティス(体幹やインナーマッスルを鍛えるエクササイズ)やエアリアルヨガを行っています。
「リハビリモンスター」でトレーナーとして活躍される貝原さんは、入社3年目の女性リーダー候補。トレーナー業務以外に、女性活躍推進法行動計画の策定等にも携わります。成長著しいベンチャー企業で活躍する貝原さんに、仕事への取組等をお伺いしました。
「自分の好きなこと」を仕事に活かす
Q:これまでの経歴を教えてください。
「美容」と「健康」に関心があり、独身時代はエステやリフレクソロジー(足つぼマッサージやフットケア)の仕事をしていました。結婚・出産後の10年間は専業主婦でしたが、子育てがひと段落ついた頃、「外に出て働こう。」と思うようになりました。人と接することが好きだったので、全国チェーン店のスタッフとして再就職。子育て経験を活かせる業務であり、スタッフも私と同じ主婦や大学生がいて、専業主婦では味わうことのできない毎日で、とても楽しい職場でした。
子どもが大きくなり働ける時間が長くなった事で、転職を考えていたところ「リハビリモンスター」のオープニングスタッフ募集を知りました。トレーナー経験はありませんでしたが、体を動かすのが好きだったことに加え、和気あいあいとした職場風土に惹かれ、転職を決めました。今の仕事は、定時で帰宅でき、土日も休みなので、家庭との両立が十分できるようになり満足しています。
Q:全く違う業種から転職されて、今の仕事に慣れるまで苦労されませんでしたか?
トレーナーになる前は、何か特別な運動をしていたわけではなく、走ったりする程度でした。はじめはトレーナーとしての知識もなかったので、同僚の理学療法士に教えてもらいながら見様見真似から始め、「ピラティスインストラクター」資格を働き始めてから取得しました。エステやリフレクソロジーの経験も、会話しながら人の身体に触れるという共通点があり、トレーナーの仕事に活きています。
当社では、ライフステージに合わせた多様な働き方を推進し、社員の希望により3つの働くコース「ワーク・ライフ・バランスコース」「スペシャリストコース」「マネジメントコース」を選択できます。私は「マネジメントコース」を選択し、様々な研修を受講して自己研鑽する段階です。コースに関係なく、1人1人がベストな環境で成長できるようサポートしてもらえますので、日々成長を実感できます。
Q:これから取り組んでみたいと考えていることは何かありますか?
「美容」と「ピラティス」を融合した、新しい事業ができないか考えています。女性は、結婚・出産のライフステージで体が変化していきます。高齢になってからリハビリを始めるのではなく、若い頃からサポートできれば、より充実した人生になるのではないかと思い、試行錯誤しています。
社長にこのアイデアを話した時「こうしたらもっと良くなるんじゃないか?」とアイデアを膨らませてくださいました。最近も社員のアイデアから「カタテバル」が実現しました。脳卒中患者の理解促進につなげるイベントで、片麻痺の方がスタッフとなり、バルに集う全員が片手しか使わない試みです。保育所、カフェ、デザインベース等のアイデアをどんどん実現させてもらえるのは、当社ならではのことだと思います。
恵まれた職場環境の中、自分で主体的に働くことを心がける
Q:働いていく上で何か助けになったことはありますか?
仕事と家庭を両立させながら働く上で、融通が利く職場であることが大きな助けになっています。例えば、子どもから「熱が出た」との連絡があったことを伝えると、「早く帰りなさい!」と即答です。職場で嫌な顔をする人は誰1人いません。これが実現できる要因の一つが「この人しかこの仕事ができない」ことが、ほとんどないことです。全員が、レッスンも事務仕事もこなせるので、誰か1人が急に抜けてもカバーできます。
また、職場の社員同士の関係性が良いことも大きな要因です。店舗間の人の異動は、基本的にはありません。1人で日常業務ができるようになるまで、徹底したフォロー体制があり、困ったときには必ず誰かが助けてくれます。上司(施設長)のことも、役職ではなくあだ名で呼ぶほどメンバーの仲が良いので、ご飯を食べに行くことも多いです。
Q:仕事で何か工夫していることはありますか?
自分で仕事を探して、主体的に働くことを心がけています。当社では、3ヵ月ごとに全員が9個の目標を自分で設定し、その目標に向けて日々仕事に取り組みます。達成状況を3ヵ月ごとに上司と面談し、その結果がボーナスに反映されるので、社員の主体性やモチベーション向上に繋がります。経営トップも経営理念を明文化しており、会社や各自の方向性が明確なところが働きやすさにつながっています。
一方、職場の人間関係においては、なるべく年上感を出さないように心がけています。当社の平均年齢は若く、社長をはじめ多くの上司は私より年下です。年齢に関係なく、誰からも何でも吸収できるように、私は常に「スポンジ状態」でいるようにしています。仕事で多少のストレスもありますが、笑顔を大事にしたいと思います。
ストレスは自分で種類分け。種類ごとに発散方法も使い分け。
Q:ストレスはどのように発散していますか?
私はストレスがあると、「忘れたいストレス」「よく考えたいストレス」「誰かに聞いてほしいストレス」の3つに分類します。そして、それぞれで発散方法を変えています。
「忘れたいストレス」は、料理で発散します。ひたすら料理に集中してストレスを忘れますが、あまりに多くの品数を作るので、家がバル状態になります(笑)。
「よく考えたいストレス」は、お風呂に入ってじっくり考えます。お風呂が大好きなので、普段から入浴時間が長いのですが、考え込む時には軽く2時間くらいはお風呂に籠ります。
「誰かに聞いてほしいストレス」は、親友を呼び出して、たくさん食べて飲んで話を聞いてもらい発散します。3つに分類した時点で客観視できていますので、ストレスが残ることはあまりありません。
Q:くじけそうになった時のモチベーション維持の方法は?
くじけそうになったときには、自分自身をマインドコントロールします。「こんな思いをしているのは私だけじゃない。」「これだけ世の中に人がいるのだから、これくらいの経験をしている人、乗り越えてきた人はいくらでもいる。」と考えて、ぐっとこらえます。
逆に「私だけこんな思いをしている。」と絶対に考えないようにしています。再就職した頃は、家事時間が限られ苦労しましたが「世の中には働くお母さんがたくさんいる。私だけじゃない。」と気持ちを持ち直し、自分で工夫してうまく両立できるようになりました。
また、「役割」をたくさん持つことも大切です。働いている時には「職場の人」、家では「お母さん」、実家では「娘」と、さまざまな役割を持っていますと、1つの役割でくじけそうになっても、他の役割があることで気持ちを切り替えることができます。役割は多く持っている方がいいと思います。
やらない後悔よりもやった後悔。まずは挑戦してみることを大切に。
Q:これから管理職やリーダーを目指す女性へ向けて一言お願いします。
私自身は、まだそういうポジションではありませんが、もし「リーダーにならないか?」と声かけされた時には、すぐに引き受けると思います。声かけは準備ができている人に来ます。周りが評価したからこそ声がかかるので、挑戦してみればいいと思います。
私が入社した1年後に、上司からいただいた「今後、女性役職者を輩出するためのキャリアアップに関してや、年齢と共に何かと変化し続けるライフステージで、女性ならではの悩みを聞く相談窓口になってください」との依頼もすぐに引き受けました。そのための外部研修に1年間参加したことで、さまざまな角度から物を見ること、バイアスをかけずに人と接することを学び、私の世界は広がりました。現在は、さらなる女性活躍推進のための社内アンケート作成や、社内制度の構築にも関わっています。
もともと私は、どちらかと言えば、やろうと思ったらすぐ体が動くタイプ。「私にできるかな?」と迷うよりも、「まずは、やってみる」ことを心がけています。挑戦した結果が失敗でも、その経験が後に活きてくることは多いです。やった後悔よりもやらない後悔のほうが、自分にとってはより大きな後悔だと思います。