インタビュー紹介

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神尾 真裕美さん

神尾 真裕美さん

株式会社神戸製鋼所
人事労政部ダイバーシティ推進室長
社員一人一人が最大限の能力を発揮し、活き活きと働ける職場を目指して

会社情報

株式会社神戸製鋼所
【所在地】神戸市中央区脇浜海岸通2-2-4
【事業内容】製造業
【従業員数】10,609人(男子9,881人 女性728人)

社員一人一人が最大限の能力を発揮し、活き活きと働ける職場を目指して

 1905年の創立以来、鉄に加え、溶接、アルミ・銅などの素材事業、機械事業、エンジニアリング、電力等幅広い分野に事業を展開している株式会社神戸製鋼所。
 次世代育成支援対策推進法の施行後、仕事と生活の両立支援策を進め、現在、第4次行動計画を推進中。2014年からは、ダイバーシティ推進室を新設し、「両立支援」と「活躍支援」の両輪で取組を推進しています。その中心となり、熱い想いを持って取組みを進めるのは、人事労政部ダイバーシティ推進室長の神尾真裕美さんです。

今の仕事はやりたかった仕事!

何か出来ることはないかをずっと考えてきました。 

Q これまで経験されてきたこと、取り組んでこられたことは?

 最初の配属は鉄鋼事業部門原料部で、鉄の原料となる鉄鋼石を購買する業務に東京本社で6年間従事しました。部にとって初めて配属された女性総合職ということで、当時の上司に相当気を遣っていただいたのを鮮明に覚えています。その後、関西勤務の夫と結婚。当時、結婚等による異動を認める制度は無かった※のですが、上司の理解や協力もあり、関西本社の人事部に異動させていただきました。人事部では、採用や教育のほか、全社員・事業所と関わる様々な仕事を担当し、現在は、ダイバーシティ推進室に所属しています。(※現在は、「転勤配慮措置」や「キャリア継続休職制度」など、こうした場合でも対応できるように「仕組み化」しています。)
 今の仕事は、私がずっとやりたかった仕事。身近な先輩や後輩が辞めていく姿を見てきたこともあり「私に何かできることはないか」とずっと考えていました。今やっと出来はじめたなと感じています。

Q 上司や部下に気をつけてきたことは?

 上司とは日頃からよくコミュニケーションを図り、自分がやりたいと思っていることなど、何でも相談していました。また、私自身のライフプランについてもよく話し合う機会を持っていただき、それが自分でも納得できるキャリア形成に繋がっているのではないでしょうか。
 部下や後輩に対しては、「彼・彼女等が会社で働き続けていくためにどんなことが必要なのか」をよく考えながら、話を親身になって聞く、ということを心がけています。そして、結果としてそれが、働きやすい職場環境や就業継続支援制度等を活用しやすい状況に繋がっていくのではないかと思っています。

Q よく「管理職になりたがらない女性が多い」と言われますが?

 一般論で言えば、そういった方々は、これまであまり「やりがいを感じるおもしろい仕事」を与えてきてもらえなかったのではないかと思います。社内の研修で外部講師の方から「一般論として男性にはナイト(=騎士)精神がある」と聞きました。男性にはどこか「女性は守るべきもの」という意識があって、大変な仕事をさせてはいけないと無意識のうちに思っているというのです。確かに女性に対する「一定の配慮」は必要だと思いますが、「過剰な配慮」はいらないと思います。「大変だろう」と勝手に決めつけるのではなく、もっときちんと話合うことがお互いにとって良い結果に繋がるのではないでしょうか。

Q 仕事をしていてくじけそうになったこと、苦労したことは?

 入社3年目のとき、くじけそうになったことがありました。会社の業績も悪くどん底の時期でした。でも、担当替えをしてもらうことで仕事の領域が広がり、仕事に面白みを感じることが出来ました。
 また、育児休業から復帰したばかりの時期もしんどさがありましたが、育休復帰時にならし保育があることを教えてくれた先輩や、急に呼び出されて残していった仕事を代わりにしてくれた上司など、本当にいろいろな方々に支えられて乗り越えられたと思います。
 今の業務を担当するようになり、VAL21(兵庫県経営者協会女性産業人懇話会)なども通じて、社外の女性管理職の方々ともお話させていただく機会が増えました。働き続ける上で苦労された経験談などを聞きたりすることで、「自分の苦労なんて大したことない」と思えるようにもなりました。
 社内でも私のように恵まれた人が増えていくよう、会社全体としても意識や働き方の変革など、更なる取組を進めていきたいと思っています。

優先順位を決めて効率的に。何事も前倒しを心がけて

仕事と子育ての両立で工夫してきたことは?

 仕事は、あらかじめ計画を立て、優先順位を決めて効率的に行う。そして、何事も前倒しで行う。といったことを心がけています。
 子育ては、夫がとても協力的なので助かっています。夫の両親も共働きだったこともあり、「自分が家事や育児をするのが当たり前」という考えで、家事と育児はそれぞれ得意分野を担当しており、ほぼ半々の分担となっています。やはり、夫の家事・育児への関わり度合いは妻の仕事の関わり方に大きく関わっていると思います。
 夫とはお互いの出張や会食等の数ヶ月先のスケジュール調整をしつつ、どうしても重なる場合は、義両親やファミリーサポートなどを駆使して何とかこなしています。(笑)

 Q ストレス発散の秘訣は?

 週末、子どもと一緒に過ごすことですね。夏はキャンプ、冬はスキー、それ以外の週末は、子どもと一緒にインラインスケートを習っています。子どもと一緒に活動することで幅が広がりそれが、いい気分転換にもなっています。

 ”スーパー”じゃなくても活躍できる会社にしたい。

  後輩たちにとって「なりたい人」になりたい。

Q 管理職になってうれしかったことや感じていることは?

 管理職になったとき、昔の部署や関わりのある様々な方からお祝いのメールをいただきました。一番嬉しかったのは、母親が「誇りに思う。」と喜んでくれたことですね。
 私自身、管理職となり、社外の人と話す機会が増え、視野が広がったのではないかと思います。そして同時に、会社の広告塔として意識しなければならいと考えるようにもなりました。
 女性の管理職として、これからは後輩たちの「ロールモデル」としても意識していく必要があると思いますが、私としては、自分らしく、私自身が能力を発揮し、活躍していくことで、後輩たちにとって「なりたい人」になっていられたらいいなと思っています。
 先輩方のお話で、よく、「昔は制度も整ってなくて、女性が地位を獲得することや働き続けることは”スーパー”じゃないと出来なかった」とお伺いすることがあります。でも、これからは、”スーパー”でなくても女性が活き活きと働ける、また職掌にかかわらず、それぞれの目標をもってキャリアが描ける会社にしていきたいです。

Q 後輩の皆さん方に対するエールを

 働き続けたいと願う女性が働き続けられる、そんな“あたり前”の世の中になるまでには、日本社会が変わる必要があります。ですが、日本社会の慣習や大多数の人々の考え方を変えることは簡単なことではなく、変化を待っていてはいつになるか分かりません。
 「活き活きと働き続ける女性」が一人、また一人と増えていくことが今の時代を生きる我々にできることであり、それが次世代を担う子供たちにとってより良い世の中に繋がると信じて、共に頑張りましょう!