インタビュー紹介
森崎 麻希さん
コープ住宅株式会社
中部営業所 副所長
初の女性副所長として、肩の力を抜いて、自分らしく働く
会社情報
コープ住宅株式会社
【所在地】神戸市垂水区福田3丁目2-12
【事業内容】建設業、不動産仲介
【従業員数】141人(女性38人、男性103人(平成29年5月末時点))
初の女性副所長として、肩の力を抜いて、自分らしく働く
コープ住宅株式会社は、1987年にコープこうべの住宅部門が分社独立し、県内大手のリフォーム総合企業として、リフォーム・修繕工事や不動産事業等を行っています。コープこうべの理念を継承して、組合員の暮らしの向上を念頭に置く、地域の「住まいのホームドクター」としての役割も担っています。
男性中心のイメージが根強い建築業界において、営業所の副所長として約30名の部下を束ねる森崎さん。これまでの仕事を通じて得られた女性営業職としての知見や、管理職を目指す方へのメッセージを伺いました。
冷静に、客観的に、仕事に取り組む
Q これまでの経歴と現在の業務を教えてください。
学校卒業後は、建築業界とは関わりのない仕事をしていました。結婚、出産で退職し、長男が6歳の時にコープこうべのインテリア担当のパート職として再就職しました。当初の業務はインテリア関係のみでしたが、徐々にリフォーム関係全体の仕事に関わるようになり、契約社員を経て、2006年から正社員になりました。
2010年からは営業チーフとして営業チームを率い、2015年に営業所副所長に昇進しました。2017年に長年勤務した西部営業所から中部営業所の副所長に異動。現在は所長の補佐役として、数値管理、クレーム対応とともにメンバーをまとめ育成しています。
「住まいのホームドクター」の役割を担う当社の営業職には、一般のリフォーム会社とは異なり、福祉や高齢者問題を含めた親身な対応や、営業活動が求められています。そのためには、新入社員の初期教育が重要であると考え、営業所における長いスパンでの教育に力を入れています。指導したメンバーが、一昨年、今年と営業チーフに昇進したことは大きな喜びです。
Q 働く上で大切にすることはありますか?
数字を持つ女性営業職として長く働くことができたのは、厳しいノルマや歩合給ではなく固定給であったことも大きいと思います。女性営業職の増加には柔軟な働き方を可能にする制度設計が重要です。
一方で建築業界では女性はまだ少数派ですから、良くも悪くも注目されます。組合員様から「あなたで大丈夫なの?」と言われることもありましたが、自分自身では「女性であること」を意識せず、また相手にも意識させないよう、言動には注意してきました。感情的にならないこと、常に冷静さを保つことを意識して仕事に取り組んできました。
また、仕事をする上で、私心を持つことなくいろいろな角度から見て判断することを意識してきました。会社の経営を左右するような決定が必要な場面では、客観的な視点が重要と認識して、日頃から業務にあたるよう努力しています。
部下とのフラットな関係を心がける
Q男性部下が多いと思いますが、意識していることはありますか?
営業職メンバーのほとんどは男性で、私より年上の方もいます。まずは相手の話を受け入れ、次に、わからないことを相手に質問しながら関係性を高めるようにしています。一方的なアドバイスではない双方向のコミュニケーションや、部下とのフラットな付き合い方を心がけています。今年度、中部営業所に異動になった時には、所長とともに全員と個人面談を行いました。
営業職メンバーには「女子力が必要だ」と話しています。3つのキ(気付き、気配り、共感力)をキーポイントに、顧客に感謝される営業職としての働き甲斐を見つけてほしいと思います。
Q 印象的なエピソードはありますか?
少し前に社内の空気が重く、社員のモチベーションが下がり気味になりました。この空気を払拭するために、資格試験(第二種電気工事士)をみんなで受験することを提案しました。私を含め12人が集まり、終業時間後に勉強会を実施して9名が合格しました。仲間と一緒に勉強し、受験し、打ち上げを楽しんだことで、一体感や新たな人間関係も生まれました。士気を高めることにも役立ち、所属全体の雰囲気もよい方向へ改善されたように感じました。
仕事のことは組織が解決する
Q 精神的な強さはどうやって育てるのでしょうか。
女性は一般的に真面目なので、相手に言われたことをそのまま受け止めてしまい、精神的につらくなることがあります。相手と比較せず、振り回されず「どうにかなる!」といい意味で開き直り、自分スタイルを貫くことも大切です。私の場合はもともと反骨心が強いので、口には出しませんが「あなたの立場ではそう言わざるをえないかもしれないけれども、私はこうする」と乗り切ることもあります。
仕事で思い悩んでいた時に上司からもらった「仕事のことは、組織が解決する」との言葉で心が軽くなりました。また、仕事を続けることに協力してくれた家族には、心から感謝しています。
当社のクレド(社是)の中に「自ら考え、自ら行動を起こす」という言葉があります。自由には責任が伴うことも考えながら、肩ひじ張らずに自分らしく進んでほしいと思います。
Q これから管理職を目指す方や女性へのエールをお願いします。
営業チーフ、そして副所長に登用されたときは、驚いたと同時に、女性が管理職となることで指導やクレーム対応などの場面で不満が出るのではないか、と想像しました。登用した上司からは「選択肢はない」と退路を断たれ悩みましたが、管理者となってみると予測したような反応はほとんどありませんでした。
管理職としてのマネジメント業務の中で、後進育成は女性に適性があるように思います。相手と向き合って育てる、切り捨てない。女性が管理職になることはいろいろと大変なこともありますが、女性ならではの感性や能力を生かせるポジションであるとも感じています。皆さんもぜひ前向きに捉え、上を目指してほしいと思います。